ウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空機について大きな動きがあったと報じられています。この事故の捜査を進めてきたオランダの事故調査委員会はロシア軍防空ミサイル部隊の兵士を特定し今後刑事事件として訴追する方針があると報じられています。
2014年7月17日にウクライナの上空を飛行中にロシア製BUKミサイルの迎撃を受けて撃墜したマレーシア航空MH17便撃墜事件で、事件の調査を進めてきたオランダ当局が、撃墜に関与したロシア軍兵士20名を特定し、刑事事件として訴追する方向で準備を進めていることがトルコ紙「daily sabah」の報道で明らかとなった。これはウクライナのクリミア半島を強制的に併合したロシアに対しウクライナ人とウクライナの親ロ派による内戦が発生していた頃、ウクライナ上空を飛行していたマレーシア航空の民間旅客機が何者かにより撃墜されたという事件です。
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調査を進めたのはオランダの事故調査委員会なのですが、トルコ紙が報じたところによるとウクライナ国内の反政府勢力の勢力下、つまり親ロ派の勢力下には当時噂されていたロシアの正規軍がいたとしてミサイルを発射した部隊はロシアの第53回対空旅団(53rd anti-aircraft brigade)としています。その証拠は当時ロシアはウクライナ国内にはロシア軍は展開していないと主張していたにもかかわらず、ウクライナに駐在するこの部隊の写真が撮影されたものが見つかっているそうです。
これを元にオランダ当局は第53回対空旅団の隊員20人全員を既に特定しており対し戦争犯罪容疑で刑事告訴することを検討している云々と報じられています。
▼オランダ事故調査委員会の報告(2015年10月)
マレーシア航空MH17便撃墜事件の原因についてはロシア製の『SA-11 ガドフライ(9K37 ブーク)』によるものと既に断定されています。これは2015年10月13日、オランダの事故調査委員会が調査結果を発表したもので、その内容によると撃墜に使用されたミサイルは9N314M型弾頭で発射されたエリアは旅客機が飛行していた前方の台形状に広る320平方キロメートルです。ただし、この兵器はウクライナ軍も運用していたことから当時どちらが使用したものかは明らかにされていませんでした。
▼オランダ事故調査委員会によるミサイル発射位置の推測
事故調査報告によると機体前方上部、コックピットから見て左上数メートルの位置でミサイルに搭載されている近接信管が作動し爆発、無数の破片が機体を貫いたとされています。この判断については爆発音がコックピットに搭載されていた複数のマイクロフォン、そしてパイロットのマイクから時間差を置いて録音されていたことから起爆位置が特定できました。
▼こちらは撃墜された機体に近いロシアの旅客機IL-86と9N314M型弾頭を用いて行った試験。試験自体はロシア国有のAlmaz Anteyが行っておりオランダの事故調査委員会とは無関係と考えられます。