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原子力発電所等を稼働すると生成される水素の放射性同位体「トリチウム」について、フロリダ州にある原子力発電所で環境基準の215倍の値が検出されたと報じられています。

フロリダ州にあるTurkey Point Nuclear Plant(ターキーポイント原子力発電所)の周辺環境で、基準値の215倍のTritium(トリチウム)が検出されていたことが7日、地元自治体のMiami-Dade County(マイアミ・デール群)が公開した調査資料によって明らかとなった。

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トリチウムについは東日本大震災後、福島第一原発で生じた汚染水でも聞く言葉なのですが、実は普通に稼働している原発からもトリチウムは大量に生成されています。その量は原子力資料情報室(CNIC)によると100万kWの軽水炉を1年間運転稼働すると約20兆~200兆ベクレルのトリチウムが蓄積するとのことです。

さて、ターキーポイント原子力発電所で検出されたのはこのような一般的な原発から生じたトリチウムになるのですが、原子炉内を巡る一次冷却ではなくこれ冷却する二次冷却水から環境基準値の215倍のトリチウムが検出されたというものです。
記事によるとターキーポイント原子力発電所は通常の原発とは異なり二次冷却水を地上に出し長い水路を巡らせることで自然冷却し再度内部の一次冷却水の冷却に使用しているそうです。この水路自体は一応クローズの環境になっているそうなのですが、近くには海があり流出している疑いがあることから立地自治体では筒状の冷却塔による方式に変更するよう求めているとのことです。

▼ターキーポイント原子力発電所の二次冷却水水路


トリチウムはベータ線を放出する放射性同位体で私達人体には一般的な水と同じように取り込まれ内部被爆の原因となります。福島の汚染水でも言われているように取り除くのは非常に困難とされ一般的にはそのまま放出されているとのことです。
トリチウムは非常に弱いベータ線を出し人体ではDNAを傷つけるとされているものの、他の放射性セシウム・ヨウ素に比べて人体への影響は極めて少ないと考えられています。

同じく原子力資料情報室(CNIC)によると、地球では原爆や原子力発電所等で生成される以外も宇宙線と酸素・窒素の反応で生成され雨の中にも1リットルあたり1~3ベクレルとほぼ無視できる量が検出されるとのことです。WHO基準によると安全性の基準は1リットルあたり10,000ベクレル、アメリカの場合では飲料水における基準は1リットルあたり740ベクレルとなっているそうです。