無人で空母から飛び立ち敵基地や敵機を攻撃することができるという次世代の無人艦上戦闘攻撃機『X-47B』について米海軍は開発中止を決定したと報じられています。
US NavyのVice Adm Joseph Mulloyは10日、ワシントンで開催された国防関係者を集めたカンファレンスで講演を行い、予算上の理由でF/A-18に代わる戦闘攻撃機の無人版となるUCLASS(unmanned carrier-launched airborne surveillance and strike)の開発計画を中止したことを明らかにした。2013年5月より実際の空母から離陸させるなど試験を続けていた艦上ステルス無人戦闘攻撃機X-47BについてMQ-25 StingrayというX-47Bよりもステルス要件を軽減した機体を別に開発することで事実上計画を中止したと報じられています。
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X-47Bは陸上ではなく空母上で運用する艦上無人戦闘攻撃機で有人機でも難しいという空母への離着艦について一連の試験の結果、現在の技術では運用が難しいことが明らかになったとしてます。後継機として登場するMQ-25という無人機は米海軍によると無人偵察機と無人空中給油機の2つのタイプが開発されるとしています。
X-47Bは元は2003年に初飛行したX-47Aという全翼機の発展型です。初飛行は2011年2月でそれ以来、陸上の滑走路や空母と同じ機能のある地上施設を使用して試験が続けられていました。
空母からの発艦試験は2013年5月14日、着艦を2013年7月10日に行ない世界で初めて空母での無人機運用試験に成功させました。その後は空母上で有人機と同時に運用を行ったり空中給油試験を行うなど実戦配備に向けた試験も続けられていたものの、一方で空母への着艦試験では連続して失敗し陸上の滑走路に帰されるなど問題が発生していたと言われています。
またアメリカ海軍では伝統的に戦闘機パイロットが重視される組織上の傾向があり無人攻撃機の導入には現場からの反発が根強かったとされ2009年度の時点で廃案になる可能性があるとも噂されていました。
今回の開発中止によりアメリカ海軍は今後数十年にわたり主力空母艦載機は有人機になるという決定にもなりました。
▼空母甲板上を飛行するX-47B
▼空中給油を成功させたX-47B