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来月、ISS(国際宇宙ステーション)に取り付けられるのは宇宙空間で膨らむ新型モジュールです。これはアメリカの民間宇宙企業『ビゲロー・エアロスペース社』が開発したものになるのですが、いったいどのようなものなのか紹介していきます。

来月2016年4月8日に打ち上げが予定されているのは国際宇宙ステーションに取り付けられる新モジュールです。実はこのモジュール、従来の金属製の殻で覆われていない非金属の素材が使われているモジュールで、なんと宇宙空間に運ばれた後に浮き輪のように広がり広い居住スペースを確保できるという画期的なモノになっています。

このモジュールを開発したのは 宇宙ベンチャー『ビゲロー・エアロスペース』です。この企業はホテル王として知られるロバート・ビゲロー氏により設立された企業で、将来的に宇宙空間でホテルを建設しようという野心的な計画を進めています。

その手始めとして開発したのは今回の国際宇宙ステーションに取り付けられる『ビゲロー・エキスパンダブル・アクティビティ・モジュール』。日本語では『ビゲロー膨張式活動モジュール』とも呼ばれており略称は『BEAM』です。

BEAM

BEAMは文字通り国際宇宙ステーションに取り付け後空気で広がるという芯のある浮き輪のような構造をしており質量1.4t、展開後のサイズは全長4メートル、直径3メートルになります。素材はベクトランという新素材が使われており、これは防弾チョッキでお馴染みケプラー繊維の約2倍の強度があり耐久性は従来の金属製よりも強いとも主張しているそうです。

▼2015年3月に撮影されたBEAM
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ビゲロー・エアロスペースはこれまで2006年と2007年にジェネシスIとIIという同じ膨張式モジュールを打ち上げ展開に成功しています。また2013年にNASAと正式契約を結び1780万ドル(約18億円)の資金提供が行われています。当初は2015年末にも打ち上げを行うとしていたものの、若干計画が遅れ2016年4月の打ち上げとなりました。

NASAとしてはこのモジュールを今後2年あまり運用し各種試験を行うとしており、将来的には火星への有人飛行のモジュールとしても使用される可能性があります。 

▼火星へ向かう宇宙船のCGイメージ。船首付近にはドッキングポートを備えた膨張式活動モジュールが搭載されており、オリオン宇宙船のサイズから想像すると直径及び長さは8~10mになると考えられます。
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