世界最大の産油国となったアメリカ。その背景にはシェールオイルというこれまで技術的、コスト的に難しかった採掘技術が確立されたことが大きいのですが、一方産出している現場付近ではシェールオイルが原因の地震が多発していると報告されています。
2016年3月28日、米地質調査所(USGS)は、米国中部および東部の最新の地震危険度予測マップを発表した。注目したいのは、今回初めて人為的な要因による誘発地震の予測が含められたことだろう。予測では、今後1年間に、オクラホマ、カンザス、コロラド、ニューメキシコ、テキサス、アーカンソーの各州で暮らす700万人が誘発地震のリスクにさらされるという。アメリカ本土で地震が多い地域といえば太平洋に面する西海岸。しかし、米地質調査所が最近公開した『地震危険度マップ』によると、オクラホマ州やカンザス州南部が西海岸レベルの地震危険度であると示されました。実はその背景にはシェールガスやシェールオイルの産出が原因と考えらられる地震が多発しているためです。
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シェールガスやシェールオイルを産出するには2つの技術が用いられます。これは水平掘削坑井技術や水圧破砕法いわゆるフラッキングと呼ばれるもので、フラッキングでは水と砂、そして化学薬品からなる液体を超高圧にし地下に送り込むことで岩盤を破壊しシェールガスやオイルを取り出します。
その後、不要になった廃水は多くの事業者は専用の井戸を掘り再び地下へ戻して処分しているのですが、この廃水が特定の地層に注入された結果、本来は地震を発生させることがない地層に悪影響を与えていると考えられています。
具体的にどの程度地震が増えたのかという点について、オクラホマ州では1970年から2009年までわずか100件ほどしかなかった地震は2014年の1年間だけでも600件、さらに昨年は900件まで上昇しているといいます。
こちらの動画はオクラホマシティを中心に2008年から2016年まで実際に発生した地震の規模と位置を示したものなのですが、オクラホマシティ郊外の東部では狙いすましたかのように地震が発生していることがわかります。
オクラホマ州ではシェールガスやオイルの産出が地震を発生させていると判断しており、特に問題となる地層への廃水の量を減らすよう2016年2月に規制が設けられたとのことです。