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アメリカ航空宇宙局(NASA)は太陽光と特殊なカメラフィルターを使い、航空機が音速を突破時に発生した衝撃波の撮影に成功したとホームページ上で発表しています。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、先月カリフォルニア州のアームストロング飛行研究センターにて、米空軍が運用する練習機『T-38』を使用し音速突破時に発生する衝撃波を撮影するという実験が行われました。実はこの撮影はBOSCOなどと呼ばれる天文観測に使用する技術が使用されたとのことです。

Celestial Schlieren Uses Sun to Study Shockwaves | NASA

衝撃波

こちらが撮影に成功したT-38の衝撃波です。丸い光は太陽で、太陽を通過する絶妙なタイミングで音速を突破する必要があるという極めて難しい撮影になりました。撮影に使用したフィルターは『Hαフィルター』というものでHα線という水素原子から放射される波付近の波長帯の光のみイメージセンサーに通す特殊なものだそうです。ただ、この手のフィルターは市販されておりそこまで高価なものではないとのことです。

なぜ今さら音速と衝撃波の撮影を始めたのかというと、NASAでは静かな超音速旅客機を実現するための技術開発『QueSST(Quiet Supersonic Technology)』と呼ばれるプロジェクトを進めており、より詳しく音速と衝撃波を知るためにこのような撮影技術を考案したそうです。

NASAは2016年3月にロッキード・マーティンやGE等と共同で次世代の超音速旅客機の開発を発表しており、この機体は過去の超音速旅客機『コンコルド』がつくり出した衝撃波が地上に届いてしまい陸上での超音速飛行が規制されたことを受け、次世代機では機体設計を一から見直し空気の流れる速度を最適化することで音速突破時の衝撃波を低減させることを目指しています。 

▼大西洋上で観測されたコンコルドの衝撃波