優れたエンジンや機体設計で航空機が消費する燃料は減りつつありますが、それでも大幅な削減には至っていません。この問題についてNASAは燃料消費率が最大5割削減できるという新しい翼を開発しています。
飛行機のチケットで意外と高くつくのが「燃油サーチャージ」。最近は原油安のおかげで燃油サーチャージを徴収しない路線が増えていますが、ただでさえ高い航空券に燃料代まで加算されてはたまったものではありません。そんな飛行機の燃料消費を半分に抑える「超薄型の新型翼」をNASAが開発しているというのです。NASAが開発しているのは薄く長い翼です。記事によると『Truss-Braced Wing』と呼ばれる翼で、現在の設計では翼は機体の2箇所、左右で4箇所接続するという方法が取られているそうです。特徴はそれだけではなく従来機に比べ搭載している翼のサイズは5割ほど長くなっており、薄く長い翼を用いることで必要な燃料を5割削減し排出される温室効果ガスも削減できるとしています。
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▼『Truss-Braced Wing』を採用したボーイングの機体イメージ
一般的な航空機や戦闘機の主翼には燃料タンクが搭載され厚く重量があるのですが、より薄く長くすることで飛行効率を向上させ全体的な重量を軽減させることに成功し高い燃費効率に繋がっていると考えられます。
私達が乗る航空機については国際民間航空機関「ICAO」が定めている旅客機の翼幅214フィート(65.2メートル)という制限があり従来機よりも5割長い翼を搭載した機体はそもそも駐機することができません。また翼が長い分整備工場なども変更しなければならず、仮に新型の翼が採用されたとしても小型もしくは中型機に限定されこのような機体でも翼を折り曲げる構造が必要になりそうです。
ちなみにより長い翼については航空大手ボーイングも採用しており来年初飛行を目指しているボーイング777-9Xは71.8メートルの翼幅があるのですが、こちらの機体では実際に両端を折り曲げ規格以下に抑えるという新方式がとられています。
▼ボーイング777-9X