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ゴールデンウィークで旅客機を利用された方も多くいらっしゃると思いますが、この旅客機はどのようにして機体を加速させているのでしょうか。旅客機はジェットエンジンから出る「高温高圧の気流で加速している」と想像してしまうのですが、実はそうではないそうです。

一般的な旅客機には2基ないし4基の大型のジェットエンジンが搭載されています。このジェットエンジンは正しくはターボファンエンジンと呼ばれる数あるジェットエンジンの1つです。ターボファンエンジンは前方の大きなファンを使い大量の空気をエンジンに送り込み燃料と混ぜ燃焼、強力な推力を得ていると思ってしまいますよね。

では実際にどのように動いているのか紹介します。
高バイパス比ターボファンエンジン

こちらが旅客機に搭載されているようなターボファンエンジンの断面図です。エンジン内部では確かに燃料を噴射し空気と混ぜ燃焼させているのですがその前後には圧縮機のブレードやファン、図では紫や緑色の部分がいくつもあります。実はターボファンエンジンの燃焼はこのようなフレードやファンを回す力を得ることが主な役割となっているそうです。

つまりどういうことかというと現在の旅客機に搭載されているターボファンエンジンはファンや圧縮機を回すための動力でありエンジン全体を見た場合、高温のジェット気流から得られる推力よりも最前面のファン(プロペラ)が発生させる気流のほうがはるかに大きいものとなっています。
「ということは、旅客機はファンで動くプロペラ機なのか」というと特に最近は曖昧になっているらしくジェット機であることは間違いないのですが大半の推力がプロペラ(ファン)から発生しているためジェットエンジンを搭載したプロペラ機という立ち位置になりつつあるそうです。

この推力はどのくらいの割合なのか調べてみたのですが一般的なターボファンエンジンであれば最前面のファンが発生する推力はエンジン全体の実に7~8割となっているそうです。エンジンの性能の一つとして『バイパス比』という言葉があり、上の図では中央の圧縮機を通らずその周りを通過する空気の差を表すものなのですが最新のものでは12(12:1)つまり燃焼した気流の量が1とした場合、前面のファンから出される気流が12倍という差になっているそうです。

▼高バイパス比ターボファンエンジン(旅客機用)
高バイパス比ターボファンエンジン_1

一方F-35という最新の戦闘機の場合、同じくターボファンエンジンが搭載されているのですがバイパス比は0.57です。これはファンによる推力よりも圧縮機を通り燃焼により発生した気流が多くの推力を生み出しているということになるのですが、このような仕組みになっているのは超音速で飛行する必要があるため旅客機のような高バイパス比のエンジンを採用したエンジンでは音速以上の速度では効率が落ち速度も出せず戦闘機としては全くに役に立たないためだそうです。

▼F-35に搭載されている低バイパス比ターボファンエンジン
低バイパス比ターボファンエンジン

前面のファンが大きな推力を生み出しているならば旅客機のエンジンはわざわざ筒に収める必要があるのでしょうか。プロペラ機のようにもっと効率的な形があるのではないかと思い調べてみたところ、そのようなエンジンが存在していました。これは軍用輸送機エアバス A400Mなど一部に採用されているプロップファンなどと呼ばれるジェットエンジンです。

▼エアバス A400M
A400M

見ての通りプロペラ機のような特徴的なブレードがついておりその後ろにはエンジンが搭載されています。エンジンはターボファンエンジンのように軸が通っており軸には圧縮機と大きなブレードのついた前方ファンが直結している構造のようです。
ただ、このような高バイパス比のエンジンを採用した場合、騒音が酷くなるなど理由があり旅客機での採用は行われていないそうです。

空を飛ぶ航空機のエンジンといっても様々な種類がありどのような環境で動かすのかスピードや目的により組み合わせが行われているようですね。