ロコットロケット

カナダ政府は今後実施されるというロシアのロコットロケット打ち上げについて、第一段目が自国の経済水域内に落下するとうことが明らかになりカナダ政府はこの打ち上げに不満を寄せていると報じられています。 

一般的なロケットは発射時に燃焼する第一段目、さらに速度を得るために第二弾と燃焼し人工衛星を宇宙に送り込んでいるのですが、特に第一段目に関しては大気圏内で燃え尽きずに地上に落下してくる場合がほとんどです。
これについてカナダ政府はロシアが打ち上げるロコットロケットに関してどのような軌道でどこに落下するのかロシア側に詳細な情報の提供を求めていると報じられています。

カナダ政府、ロシアによるロケット打ち上げで不快感・ロケットの一部がカナダの経済水域に落下の見通し - BusinessNewsline

ロコットロケットは打ち上げに関して第一段目が自国ではなくカナダの経済水域内に落下する予想がでていることが明らかになり、カナダ側として航行する航空機や船舶に対して対策をとるのは当然として落下した第一段目の燃料により海域が汚染されることが考えられるとしています。

▼2014年の打ち上げ


カナダ政府がロシアのロケットに不満を示すのは理由があり、実は1977年旧ソ連が打ち上げたレーダー海洋偵察衛星(参考)の打ち上げに失敗し翌年1978年にカナダ国内に落下したという事件があるためと考えられます。
この人工衛星には原子力により電力を発生させる熱電子発電器が搭載されていたことで放射性物質がカナダ領内で拡散。その後の回収作業では最大で1.1Sv/hという生命の命を脅かしかねない極めて強い放射線を出すパーツが回収されています。

他国が打ち上げたロケットが自国に落下するなどし被害が出た場合どのようなことになるのでしょうか。国際法では宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約というものがあり第2条に『打上げ国は自国の宇宙物体が地表において引き起こした損害の賠償につき、無過失責任を負う』としています。“無過失責任”とは加害者がその行為についてに故意・過失が無くても損害賠償の責任を負うというというもので国際法を言い換えれば「打ち上げや打ち上げたものに関して結果がどうであれ被害が出た場合は相手国に賠償の責任がある」という意味になります。

当時カナダ側はソ連に対し6,041,174ドル70セントを請求しており、ソ連は落下した人工衛星は自国のものだと認めた上で3,000,000ドルの賠償金支払いで解決しています。