
陸海空の交通手段を使い大量の物資が当たり前のようやり取りされる現在。このような歴史が始まったのはいったいいつごろなのかという点に関してまたひとつ興味深い発見があったと報じられています。なんと今から3600年前には既にスウェーデンとキプロス間の長距離貿易が始まっていたことのことです。
スウェーデンで発掘された3600年前のオノを分析したところ、オノの原料にスウェーデンからはるか離れたキプロス産の銅が使われていることが判明しました。この発見に伴って、スウェーデンの古代の壁画が、現地で使われていた小舟を描いたものではなく、地中海からスカンジナビア半島へ銅を運ぶための貿易船の絵であることが明らかになっています。この研究を行ったのはスウェーデンの考古学者Johan Ling博士(ゴゼンバーグ大学)です。彼の研究によると、スウェーデン国内で発見された青銅器時代の短剣や斧70点に関して同位体分析を行った結果その一部の銅から遠く離れた地中海のキプロス産とするデータが導き出されたとしています。
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▼キプロスの位置

キプロスはトルコの南部、東側にはシリアやヨルダンがある地中海東部に位置する国でスウェーデン南部にはこの時代に描かれた壁画が残されており、そこには動物の他にも貿易船のようなものが描かれていることからスウェーデンから遠くはなれたキプロス島間で長距離貿易が行われていたことはほぼ確実だと言われているそうです。
スウェーデンからは逆に何が輸出されていたのかという点に関して、このエリアで多く採取されるスカンジナビア産の琥珀とされ中東では琥珀が金と同じ価値があったとされていることから琥珀と銅が物々交換されていたと考えられているそうです。
当時の航行技術からも危険な貿易になっていたと考えられます。一方、当時日本に青銅器を含む金属器が伝わったのは紀元前800年頃の縄文時代とされ、それよりもはるか前の時代に大型の船を使いあたりまえのように貿易を行っており当時の文明の差は相当あったと考えられます。