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感染した場合助かる見込みはほぼゼロという恐るべき殺人アメーバがみなさんの身近にいることはご存知でしょうか。今回は先日アメリカの急流施設で感染し死亡した女性のケースとこの殺人ウイルスことネグレリア・フォーレリについて紹介していきます。

アメリカ合衆国のケーブルテレビ向けのニュース専門放送局『CNN』によると、米ノースカロライナ州シャーロット近郊にある国立ホワイトウォーター・センターの水からネグレリア・フォーレリというアメーバーが高い濃度で検出されたと報じています。実は先月この施設を利用した女性がネグレリア・フォーレリに感染し死亡する事故が発生していました。

国立ホワイトウォーター・センターはボートに乗り『激流の川下り』を人工的に行える施設で米疾病対策センターが回収した11のサンプルはすべてネグレリア・フォーレリが確認されたものの、その濃度が桁違いになっていたらしく「環境試料としてはこれまでに見たことのないレベル」と発表しています。また合わせて行われた付近の川の調査でもネグレリア・フォーレリが検出されたとしています。

▼国立ホワイトウォーター・センター
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ネグレリア・フォーレリ

▼フォーラーネグレリア(左から嚢胞・鞭毛虫・栄養体)
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このアメーバは1962年から2015年8月までに134の感染例があり生存者はわずか3人です。ネグレリア・フォーレリは人の粘膜や鼻から侵入し脳に達します。そして脳細胞を溶かす酵素やタンパク質を出しながら繁殖し脳組織を破壊。アメーバ性髄膜脳炎を発症した後死亡します。感染した人間の脳は非常に柔らかくなっているとい特徴があるといいます。

ではどのように感染するのかという点に関してネグレリア・フォーレリは淡水に生息しています。合わせて温度が25~35度程度の温水環境を好んでおり過去に池で遊んでいた少年や地熱温水プールで泳いでいた少年、また鼻うがいをした結果感染した例も報告されています。
今回のアメリカの例のように人工施設からも複数見つかっており、2002年の日本の国立感染症研究所が銭湯や温泉を対象に210カ所を調査した結果、約9%の施設からネグレリア・フォーレリを検出したと報告しています。日本では1996年11月に女性が感染した例(9日後に死亡)を除き感染例はありません。

またてアメリカ、アーカンソー州では12歳の少女が公園で感染した例も報告されています。これからの季節、公園の噴水で等で水遊びさせている親も多いのですがネグレリア・フォーレリが潜んでいる可能性もあり水は適切に消毒されているのか調べた上で遊ばせたほうが良いと考えられます。