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アメリカ史上最大の原発事故といえばスリーマイル島原子力発電所事故があるのですが、実はそれよりも前に燃料棒が溶融し外部に放射能が拡散するという深刻な事故が発生していたことはご存知でしょうか。

重大事故の発生を避けるために、原子力発電所では何重もの安全策が用意されており、安全のための徹底した対策が採られています。そんな万全の対策でさえも、人間が操作する限り絶対とは言えないということをアメリカ・カリフォルニア州で発生した「サンタスザーナ野外実験所」のアメリカ最大の原発事故は教えてくれます。

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極秘とされ今も無かったことにされている米国内最大の原発事故、サンタスザーナ野外実験所の放射能漏れ事故です。1959年7月13日、ロサンゼルス市郊外約50kmの地点で燃料棒が溶融するという深刻な事故が発生していたにも関わらずそれが分かったのはなんと20年後です。しかも現在はその事故すらなかったことにされていると報じられています。

事故を起した原子炉は冷却に液体ナトリウムを使用するというナトリウム原子炉実験施設(SRE)で、記事によると1955年に初臨界し2年後の1957年4月25日発電をスタートしていたといいます。しかし、それから約2年後の1959年5月に液体ナトリウムの温度が上昇するという不具合が発生したのを機に2ヶ月後には対応を誤り43本の燃料棒のうち13本が溶融します。結果的に放射性ヨウ素やセシウムが施設外に漏れ出すという事故に発展しました。

問題は原発事故もあるのですが、情報の取り扱いです。実は原発事故は徹底的に隠蔽され事故が明るみになったのは20年後、1979年カリフォルニア大学の学生が原発関連の資料を調べていたところ偶然発見したことで、政府が後に報告書を公開したものの10年後の1989年。しかし2011年の時点でこの事故に関する内容は米エネルギー省のウェブサイトから全ての削除されているとのことです。

2010年12月に施設は解体されたにも関わらず放射性物質が検出され続けているとして住人側とトラブルになったことを受けてようやく除染が決定します。2011年アメリカ環境保護庁(EPA)による中間報告としてサンタスザーナ野外実験所があった跡地には土壌1kgあたり約7300ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが明らかになりました。
ちなみに米政府は事故発生当時、除染作業を行ったとしており1980年代には居住や農地としての利用も可能になっていたといいます。