ファルコン9

アメリカの民間宇宙開発ベンチャー『スペースX』はファルコン9ロケットを用いた国際宇宙ステーションに物資を送るミッション「CRS-9」を実施し打ち上げに成功し、ロケットの第一段目を回収する試験にも成功したと発表しました。

現地時間7月18日、午前12時45分頃フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地(ロケット発射基地)から打ち上げたスペースXのファルコン9ロケットについて打ち上げが成功し搭載していたドラゴン補給船の軌道に成功したと発表しました。
また合わせて実施されたロケットの第一段エンジンを着陸場に再び帰還させる試験を実施しこれも成功したとしています。スペースXは2015年12月22日に大型ロケットとしては初めて第一段ロケットを回収する試験に成功しており、陸上への着陸は2回目となりました。



過去の発射と比較するとこのようになります。

第一段ロケット燃焼終了時の高度と飛行速度(目安)
高度
1回目…75km
2回目…59km

飛行速度
1回目…6,000km/h
2回目…5,625km/h

切り離された第一段目は逆噴射をかけ減速。若干高度を上昇させつつUターンするような軌道を描き打ち上げた発射場にまで帰って来ます。その後回収、整備することで再利用ロケットとして再び打ち上げに使用する計画です。

打ち上げれたドラゴン宇宙船には2.2トンの物資が積まれ胴体内にはインターナショナルドッキングアダプター(International Docking Adapters:IDA)が搭載されています(参考)。これは国際宇宙ステーションに取り付けられるドッキングポートのアダプターでこれが取り付けることでスペースシャトルが使用し現在は使用されていないドッキングポート『NDS』にドラゴン補給船やドラゴン宇宙船など今後登場する新しい宇宙船のドッキングに対応させます。

▼着陸態勢に入るファルコン9ロケット
ファルコン9_1

前回の洋上に設けられた無人船への着陸は失敗してしまったのですが、原因に関しては第一段目切り離し時の飛行速度の差と考えられます。同じような打ち上げに見えるのですが最終的に人工衛星を打ち上げる高度が異なっており、今回は高度400kmという低軌道で前回は高度36,000kmです。高高度の打ち上げに関しては第一段目切り離し前に飛行速度を稼ぐ必要があるのですがこの差は実に2,000km/h以上となっています。速度を十分に減速させるために大量の燃料を消費すること、また燃焼系に問題が生じ出力を十分に上げれないと着陸に失敗してしまいます。
前回直前で燃料切れになったとしておりこれにより想定よりも若干早い速度で着陸したことで失敗になりました。

これまで無理だと言われていた第一段目の回収に関しては6回の回収試験に5回成功しているという偶然に成功したものではなく確かな技術開発の元で高い水準を保っていると考えられます。