月や太陽の位置関係で海水面が上下する潮の満ち引き。海外では水面の高低差が10mを超えることもある自然現象なのですが、米地質調査所によると大潮と地震に関して関連性があったとする研究内容を発表しています。
古来より大地震の被害に苦しめられてきた人類は、何とかして事前に地震が発生するのを察知できないものかと研究を進めてきました。このほどProceedings of the National Academy of Science(PNAS)に、太陽と月の引力によって生じる大潮が、活断層に力を加えて地震につながっている可能性を論じた研究が発表されましたよ!約2週間のサイクルで訪れる満月そして新月。そして前後に潮が最も高くなる大潮があります。この時、地球、月、太陽は直線上に並んでおり月と太陽の潮汐力(起潮力)により地球の海水面が高くなるのですが、この潮の満ち引きと地震についてはこれまでも関連性が疑われる説が幾つかあったものの詳細な観測が行われたことはなく、謎となっていたといいます。
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今回、その謎を解き明かしたのは米地質調査所です。研究チームは2008年から2015年米西部、米本土の太平洋側に伸びる全長1,300kmのサンアンドレアス断層で発生した地震(深部低周波地震)、約8万1000回の発生を分析した結果、満月や新月を中心とした前後つまり大潮の前後に深部低周波地震が増加していることが科学的に分かったとしています。
研究チームによると、地殻プレートへ潮汐による多大な力がかかり、太陽や月の引力で断層のひずみが臨界点を突破したときに地震の発生につながっているのではないかと仮説を発表しているといいます。
▼サンアンドレアス断層
満月と新月、そして地震に関してと地震が関連しているという指摘もあり、例えば日本にも被害を出したマグニチュード9.5という巨大地震チリ津波地震は新月の2日前、阪神淡路大震災は満月、スマトラ沖地震は満月1日前といずれも大潮時期なっており一部を除く巨大地震に関しては新月か満月のその前後に発生している確率が高いとされています。
もちろん今回の研究はあくまでもサンアンドレアス断層に限定した研究結果であり、地球規模で発生する地震や過去の大地震との関連を示すものではありません。ただ、潮の満ち引き、満月や新月により地球上で地震を発生させていることはほぼ間違いありません。