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人類が初めての地球以外の天体に到達することに成功したアポロ計画。11回の有人宇宙飛行ミッションで24人が地球軌道を離れたこの宇宙空間に達したのですが、実は彼らは他の宇宙飛行士に比べ循環器疾患による死亡率が高いことが初めて明らかになりました。

NASAの研究チームが発表した論文により、アポロ計画に参加して地球の低軌道よりも先の宇宙空間でのミッションに参加した宇宙飛行士が長期的に循環器系疾患の発症率は、同時期の他の低軌道のミッションにしか参加しなかった宇宙飛行士に比べて4倍にも達していることが判った。

BusinessNewsline
英科学誌ネイチャー系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された米フロリダ大学、マイケル・デルプ氏を中心とする研究チームによるとアポロ計画の宇宙飛行士で死亡した7人について3人は循環器系疾患(心臓発作、脳動脈瘤、脳卒中などの病気)が死因となっており、他の宇宙飛行士に比べ明らかに高いことがわかったとしています。

循環器系疾患による死因の割合として、訓練は受けたものの宇宙に行くことはなかった宇宙飛行士は全体の9%、国際宇宙ステーションが周回しているような地上数百kmの低軌道に打ち上げられた宇宙飛行士は11%となっており、アポロ計画の43%という数値には達していないとしています。

宇宙空間は銀河放射線(宇宙線)という高エネルギー粒子が飛び交っており、私達が生活する地上を含め宇宙の低軌道は磁気圏で保護されておりこのエリアを周回しては影響はすくないものの磁気圏の外となる空間では宇宙線に晒され細胞やDNAを損傷する可能性が指摘されていました。

研究チームによると宇宙飛行士を対象にした長期的な健康状態を調査した研究は今回は初めてだとしており死因として循環器系疾患の割合が高くなる傾向が確認されたとしています。ただし、放射線により引き起こされるといわれるガンの発生率に差は確認されなかったとしてます。


今後、人類の宇宙探査計画としてアポロ計画と同じような月面探査や月軌道上での有人宇宙ステーションの建設、火星への有人飛行や地表の探査計画が計画されておりアポロ計画よりも強い宇宙放射線に晒されることが予想されています。
NASAが定めている宇宙飛行士の被曝量に関して男性は生涯で800mSv(0.8Sv)、女性は600mSv(0.6Sv)としており、これを超えた場合は二度と宇宙に飛び立つことはできません。また宇宙空間(地球から火星の空間)における放射線量は1日当たりの平均1.8mSv(1時間あたり75uSv/h)で、これは地表付近(東京)における放射線量の約2,100倍となっています。