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あまりに強い放射線は人間を含む動物、そして植物に致命的なダメージを与えることが知られていますが、実は地球上にはこのような放射線を逆に好む菌がいるそうです。今回は宇宙という最前線で研究されることとなった放射線養分化菌のお話を紹介します。

7月18日にフロリダのケープカナベラル空軍基地で打ち上げられたSpaceX Dragon、つい先日国際宇宙ステーションに到着し、新たな研究材料を届けました。この中には、チェルノブイリで発見された放射線を好む菌、8種類が含まれています。

ギズモード
生き物の中には高温環境に耐性のあるものや強酸、強アルカリに耐性のあるもの、人間の致死量を遥かに超える放射線を浴びても平気な微生物など様々いるのですが、今回宇宙に送り込まれたのは放射線を好むというとてもめずらしい菌です。

記事によるとこの菌はチェルノブイリ原子力発電所付近で最近見つかったもので科学者が行った研究によると強い放射線環境で繁殖しているのは当たり前として、なんと放射線の強いエリアを好み成長しているという謎の生態がわかったそうです。

放射線養分化菌
Photo:NASA/JPL-Caltech

先日打ち上げられ国際宇宙ステーションで研究されることになったのは複数の菌でいずれも放射線を好むという生態が確認されており、現在わかっていることとしてチェルノブイリ事故を起こした建屋内で採取された個体よりも建屋の外、つまり放射線が低いエリアで採取された微生物よりもメラニンを多く含んでいることが分かっているそうです。また建屋内で見つかった菌の2割からは放射線養分化菌という放射線をエネルギーに変えて成長する特性のある菌が含まれるとしています。

「わざわざ宇宙に持っていく必要はあるのか?」という点に関して、実はこの菌からはガンやうつ病といった病気を撃退する可能性を持った特別な生体分子を生成することが示されているとしており、宇宙に送られたサンプルは14日間国際宇宙宇宙ステーションに滞在し地上に戻され、地上のサンプルとどのような違いがあるのか比較研究されるとしています。

ちなみにチェルノブイリ原子力発電所付近では耐放射能性を持つ大豆系の植物が繁殖していることが確認されとえり、この大豆は植物内に特殊な酵素を保持することによって外部から取り込まれる有害な放射能や重金属を植物外に排出する生態を持っており大豆には放射能が蓄積されないことが確認されています。