スペースXが現在開発している新型ロケット『マーズ・コロニアル・トランスポーター』について、搭載する新型エンジンの『ラプター』の初の燃焼試験を今後数ヶ月以内に開始すると報じてれています。(写真は参考資料)
早ければ2024年の有人火星探査を目指しているスペースX社。そして同社CEOのイーロン・マスク氏が夢見る火星移住計画のためには、さらに大型なロケットやエンジンが不可欠です。というわけで、スペースXはロケットエンジン「ラプター」の試験を数カ月後に開始すると海外にて報じられています。燃焼試験を実施するロケットエンジンは同社が構想する火星へ物資や人を送ることができるロケット『マーズ・コロニアル・トランスポーター』に搭載される新設計のメインエンジンのことです。
sorae.jp
スペースXは過去にファルコン9を巨大化させたようなような形状の超重量物打ち上げ機『マーズ・コロニアル・トランスポーター』を開発していると発表しており、火星地表に100トンという桁違いの質量を送り込むコンセプトとなっていました。この100トンとう質量は現在火星にある最も重い人工物『火星探査車キュリオシティ』の実に111倍になります。
計画では当初1度のミッションで100名もの宇宙飛行士を含む旅行者を打ち上げ火星に入植。恒久的な火星基地に移住するという案になっていました。
このコンセプトを実現させるため強力なエンジンの開発が始まったのですが、そこで使用されるのがこの『ラプター』エンジンです。
ラプターエンジンの性能
こちらの図はスペースXのロケットを『おしり側』から見たイラストです。一番右側が9基のラプターエンジンを備えた直径10mのマーズ・コロニアル・トランスポーターです。その他、中央が現在のファルコン9 FTとほぼ同じファルコン9 v1.1、左が初期型のファルコン9です。
このようにマーズ・コロニアル・トランスポーターのラプターエンジンはノズルの直径が180cm以上と現在のファルコン9に比べ巨大化していることが分かります。
具体的なラプターエンジンの性能に関してはあまり明らかになっていません。2014年ごろまでは100人を火星に送り込むため1基あたり4,400 kN (1,000,000 lbf) 以上の推力が必要だとしていました。しかし、2015年2月、スペースXのCEOイーロン・マスク氏は大幅減となる2,300 kN(目標値)と発表。
その上で現在のマーズ・コロニアル・トランスポーターは少なくとも地球低軌道に100トン以上の質量を送り込むことができるロケットになると言われています。これは現在NASAが開発しているスペースシャトルに代わる次世代ロケット『SLS』と同規模の打ち上げ能力になると考えられます。
今後の計画
スペースXに関してはNASAとの協力の元、2018年にファルコンヘビーロケット(参考)を使用しドラゴンV2無人宇宙船の打ち上げ火星に着陸し無人探査を実施します(参考)。2年後の2020年に再びドラゴンV2の打ち上げ、2022年には無人のマーズ・コロニアル・トランスポーターを火星に送り込みます。そして2024年に有人マーズ・コロニアル・トランスポーターを使用し人類史初の火星有人飛行及び着陸を実施する予定です。スペースXの火星有人探査計画については今年にも新しい発表があると言われておりその場で今後打ち上げられるロケットの詳細とその具体的な探査内容が発表されるものと考えられます。