スペースシャトルに代わる次世代ロケットとしてNASAが運用する超重量物運搬ロケットSLS(スペース・ローンチ・システム)が開発されているのですが、このロケットに関して初めて運用コストが明らかになりました。
NASAが現在、開発を進めているスペースシャトルに代わる次世代有人ロケットのSLSとオリオン有人宇宙船に関して、年間運用コストは20億ドルとなる見通しとなっていることが18日、NASAの担当責任者による会見で明らかとなった。現在NASAは地球低軌道、つまり国際宇宙ステーションが周回しているような高度ではなく月、火星そして小惑星といった深宇宙にも人類が到達することができるロケットと宇宙船を開発しています。そのロケットがスペース・ローンチ・システム(SLS)で宇宙船がオリオン宇宙船になります。
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▼SLSとその派生型
具体的に運用コストはいくらになるのかに関してこれまで詳細は発表されたことはなかったのですが、記事によると全体における1年間の運用コストは20億ドル(約2000億円)前後になるとしており(スペースシャトルは36億ドル)、現在想定されている年5~6回のSLSの打ち上げに関して1回あたり2億8600~3億3000万ドル、日本円で286億円から330億円になるだろうと言われているそうです。
現在NASAは2030年代の有人火星探査計画を進めているのですが一方でスペースX及びNASAが共同で2020年代の火星サンプルリターンミッションやそれ以降の有人火星探査を計画しており、SLSよりも早くまた安価な額で行うと言われています。
SLSに関しては初号機の打ち上げミッション『SLS-1/EM-1』を2018年11月に実施すると発表しており、無人のオリオン宇宙船を月を周回させ秒速11kmという極超音速で地球に落下させることで他の天体から帰還する宇宙船としての性能検査が実施されます。
▼アメリカが開発(構想を含む)したロケット。左からサターンV、スペースシャトル、アレスI、アレスV、アレスⅣ、SLS Block1、SLS Block2 Cargo