今から2年ほど前、アメリカ空軍のパイロットが飛行訓練中に急旋回により意識を失ったものの自動回避システムが作動し一命を取り留めました。実はこの時に撮影されたパイロット視点の映像が機密解除になり初公開されました。
2014年にU.S. Air Force Arizona Air National Guardで演習飛行中のF-16戦闘機のパイロットが飛行中に気絶し、機体はそのまま地上に墜落するコースを取ったのにも関わらず、F-16に搭載されていたAutomatic Ground Collision Avoidance System (Auto-GCAS)が作動することで、機体の制御が自動回復していたことが13日、機密解除された機体のヘッドアップディスプレイのビデオ映像により明らかとなった。
Technobahn
こちらが機密解除となったAuto-GCASが作動した実際の映像です。このシステムは航空宇宙大手ロッキード・マーティンが中心となりNASAやアメリカ空軍研究所が共同で開発したもので、初めて搭載されたのは映像のパイロットが操縦していたF-16 Block 40/50という1989~93年ごろに配備された機体向けに近年追加搭載されたものだといいます。
▼F-16 Block 50
Auto-GCASは本来『CFIT』という機体やパイロットが正常な状態にも関わらず衝突の可能性に気付かないまま山や地面、水面、障害物等に衝突する事故を防ぐ目的で開発されました。
ロッキード・マーティンによると2014年にF-16Cを使用した戦闘任務中(実戦)で初めて作動が確認されたとしており現在まで複数のパイロットの命を助けていると言われています。このようなシステムはF-22やF-35には搭載されておらず現在システム開発を進めるとしています。(参考)
ロッキード・マーティンによるとAuto-GCASの開発に携わったのはF-117やSR-71を開発したことで知られる極秘開発部門スカンクワークスとのことです。