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9月1日、スペースXが運用しているファルコン9ロケットが打ち上げ前の実施する燃焼試験の給油中に突然爆発するという事故が発生した件に関して、NASAの第三者委員会となるISS諮問委員会は同ロケットによる有人打ち上げに関して懸念を表明したと報じられています。

2016年9月1日、イスラエルの通信衛星を搭載したファルコン9FTロケットがエンジンの燃焼試験を行う8分前に爆発するという事故が発生しました。以降、毎月のように打ち上げられいたロケットは現在運用が停止されているのですが、NASAの第三者委員会の一つとなるInternational Space Station Advisory Committee (ISSAC)、国際宇宙ステーション諮問委員会という組織が、国際宇宙ステーション(ISS)への人員輸送として同ロケットを使用するには問題があると発表しているそうです。

NASA第三者委員会、有人版Falcon 9ロケットの安全性について懸念を表明 - Technobahn

ISSACによると、前回の爆発事故はファルコン9FTロケットの上段にある高圧ヘリウムガスタンクが破裂し発生した可能性が高いとしており、打ち上げ前に液体ヘリウムを充填しなければならず作業の安全性に問題があるというものです。

▼前回の爆発事故


ファルコン9ロケットは上空で燃焼する第二段の液体酸素加圧用として液体酸素タンク内に高圧ヘリウムガスタンクがあります。液体ヘリウムは常温では保管できないため打ち上げ直前に充填する作業を行わなければならず、今回爆発事故を起こしたことで補充システムの安全性に問題があることが露呈した形となりました。
ISSACによると、有人打ち上げでも同じように液体ヘリウムを充填しなければならず、宇宙飛行士を載せた状態で液体ヘリウムを充填するのは危険な行為だと指摘しているといいます。

記事によると液体ヘリウムの充填作業は他のロケットでも行われているのですが、スペースシャトルの場合は燃料補給や液体ヘリウムの充填を含め全ての作業が終わった後、安全が確認された上で宇宙飛行士が乗り込むという方法で運用されていたといいます。

ファルコン9FTロケットは従来のV1.1型よりも推進剤の液体酸素とケロシンを更に低温にすることで高密度化し燃料搭載量を増やすことで打ち上げ能力を向上させたタイプになります。9月の爆発はヘリウムタンクの破断とされているものの、FTロケットでは過去に超低温推進剤の冷却不足と異常圧力が出たため3回も打ち上げが延期されるなど非常に扱いにくい運用方法となっています。