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NASAが打ち上げた大型の木星探査機ジュノーが先月19日メインエンジンの不調により軌道変更が延期された件に関して、同様のエンジンを搭載している他の衛星でも不具合が確認されていたことがわかったと報じられています。

打ち上げから5年が経過した今年7月、木星周回軌道に投入が確認されたのはNASAが保有する探査機『ジュノー』です。この探査機に関して先月10月19日、1周14日間の軌道変更を行うため搭載されているメインエンジンの再燃焼を実施しようとしたものの正常に動作せず延期となりました。

NASAの木星探査機で発生したスラスタ障害、同じエンジンを搭載したインテルサットの通信衛星にも障害が発生 - BusinessNewsline

エンジンが動作しなかった理由に関して調査が進められていたのですが潜在的な欠陥があること可能性が高いと報じられています。

▼燃焼に失敗したLerosエンジン
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ジュノーの中心部分に搭載されているのはMoogが製造している『Leros』というエンジンです。推力は145ポンド、ヒドラジンと四酸化二窒素を燃焼させるエンジンなのですが推力は異なるもののほぼ同じ技術で作られたエンジンを搭載したインテルサットの通信衛星「Intelsat 33e」でも同様の不具合発生していたことがわかったとしています。
ジュノーに関してはヘリウムチェックバルブに何らかの不具合が発生し燃焼が行えないでいるとしています。

▼探査機ジュノーがLerosエンジンを作動させたイメージ
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 『Leros』に関しては地球軌道で使用するものから惑星探査用など幾つかバージョンがあり、静止気象衛星GOES-RシリーズやGPS衛星GPS IIIシリーズ、火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーやマーズ・クライメイト・オービター、2001マーズ・オデッセイなど数々の人工衛星に採用されている信頼性の高いエンジンシリーズだったとしています。

▼ジュノーのソーラーパネル
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木星探査機ジュノーは2011年8月5日、アメリカフロリダ州から打ち上げられた探査機で質量は3.625トンの大型探査機です。従来この手の深宇宙探査機はソーラーパネルによる発電量が低下してしまうため原子力電池が用いられてたものの、ジュノーに関しては長さ8.9m、幅2.7mの高効率ソーラーパネルを3枚搭載することで必要な電力を確保しています。

現在この探査機が搭載したソーラーパネルは人類が製造したものとして最も遠くにあるソーラーパネルとなっているのですが、現在の予定では2017年10月に木星に落下させミッションが終了となる予定です。