ペガサスXL

アメリカの民間企業、オービタルATK社(旧オービタル・サイエンシズ)は旅客機を改造し母機スターゲイザーを使用した人工衛星の打ち上げを行い、予定された軌道に投入することに成功したと発表しました。

NASA(アメリカ航空宇宙局)は15日(現地時間)、ハリケーンの観測プロジェクト「CYGNSS」に用いられる小型衛星8機全てが所定の軌道に投入され、地上との通信を確立したと発表した。

衛星を軌道に投入するために用いられたのは米Orbital ATKの「Pegasus XL」で、専用のジェット機から切り離した後に点火されるというものだ。

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今回打ち上げられたロケットは『空中発射ロケット』というもので、従来のように陸上からロケット花火のように打ち上げるタイプではなく、旅客機に機外搭載する形でロケットを運び上空で打ち上げるというものです。今回オービタルATKが打ち上げたのはNASAのハリケーン観測衛星『CYGNSS』という小型の8基で、現在地上と正常に交信できているとしており打ち上げは成功しました。



こちらが先日打ち上げられた同ロケットの発射映像です。ロケットはペガサスXLというもので、全長は17.41mと日本で見られる電柱よりも若干長いサイズで、翼幅は6.71m、ロケット本体の直径は1.27mとなっています。

ペガサスXLを運用するスターゲイザーは元はエア・カナダで運用されていたロッキード L-1011 トライスターという旅客機で、座席を取り外しロケットの運用に必要な機材が搭載されました。同社はこの旅客機を購入する前はアメリカ航空宇宙局が保有していたNB-52Bという戦略爆撃機B-52の派生型から発射されていました。
スターゲイザー離陸後、打ち上げ空域まで運ばれ投下。ペガサスXLは第一段を燃焼させ急上昇し宇宙を目指します。

他にもある空中発射ロケット

世界的にも見て非常に珍しい打ち上げ方法なのですが、実は今後このような打ち上げを行うロケットが増えていくものと考えられています。
例えば民間宇宙旅行を行う予定のヴァージン・ギャラクティックはスペースシップツーの打ち上げを空中発射で実施する予定です。また同社はボーイング747型機の特殊機、4基+輸送用のエンジン1基を搭載可能な機体を購入しこれをロケット「ランチャーワン」の打ち上げを実施する機体として運用を目指しています。(参考)

他にもストラトローンチ・システムズは747型機のエンジンを6基搭載した機体「ロック」の製造を開始しており、空中発射ロケット「サンダーボルト」の運用を目指しています。