火星の住居

アメリカではNASAが2030年代の有人火星探査計画を発表しているのですが、数週間火星地表で滞在する間の住居はどのような案があるのでしょうか。今回は有力候補とする『氷の住居』が報じられています。

NASA(米航空宇宙局)は、そのためにありうべき「理想的な住居」がどういったものかを明らかにした。いわく、それは火星の過酷な環境から宇宙飛行士たちを保護するとともに、「家」のイメージを想起させなければならない。 それはどういったものだろうか?

ヴァージニア州のNASAラングレー研究所のデザイナー、建築家、専門家たちによると、火星における理想的な住居は、氷でつくられるというのだ。

WIRED.jp
現在、有人火星探査計画では地球から火星に飛び立ち再び帰ってくる往復のミッションで500日~520日程度の日程になると言われています。そのうち、火星地表に数週間、以前では30日程度を目安に滞在が実施されるなどと言われているのですが、宇宙飛行士らが生活する住居案として火星の水で作る案があるといいます。

従来、この手の構造物は金属の殻で覆われた構造物が利用されてきたのですが、重量があり火星への着陸が困難になることや火星地表の高い放射線量などの影響を軽減する理由などから、現地の水を素材にする建物が向いていると判断されているそうです。

記事によると氷の住居は地球から運ばれた膨らむ構造の建物を火星に送り込み、火星の水を利用しロボットにより400日かけ充填し作り上げるものとしています。また氷から作られるため太陽光を透過させることができ、NASAが重要としている『理想的な住居』を作る事ができるとしています。
NASAによると、「地下に住居を作ってはどうか」という案に関しては地下を掘り進むには重い重機が必要であるため氷の住居に比べ複雑でありシンプルではないとして現在のところ実現は難しいと判断しています。


一方、NSASは火星での長期滞在を行うための被験者を用いた複数の実験を行なっています。その一つとして「HI-SEAS(Hawaii Space Exploration Analog and Simulation)」があり2014年に実施されたHI-SEAS IIIでは外部と接触は受けず通信手段がメールだけという環境で6名の男女が8ヶ月暮らすという実験となりました。
この実験では主に被験者の心の問題が調査されており、NASAが外が見え太陽の光が差し込む家が理想的だとしているのはこのような実験結果から来ているものと考えられます。