イギリスメディアによると、昨年行われた潜水艦発射型戦略核ミサイル「トライデント」(SLBM)の発射試験に関して、打ち上げ失敗が今まで隠蔽されており発射試験ではミサイル本体がアメリカ本土に向かって飛んでいった可能性があるとも報じられています。
【1月23日 AFP】英国政府が昨年、米国沖で行った潜水艦発射型戦略核ミサイル「トライデント(Trident)」の発射試験の失敗を隠ぺいしていたと、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が22日に報じた。英下院ではこの試験の数週間後にトライデント・システムの更新計画が採決にかけられ、可決されていた。イギリス紙、サンデー・タイムズによると英海軍高官の話として、昨年6月に米フロリダ州沖にて英潜水艦から「トライデントII D5」を発射する試験を行ったものの失敗していたというものです。
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高官によると、同弾道ミサイルの試験が行われたのは実に4年ぶりで今回の失敗に関して「政府と軍の上層部は大きなパニックに陥った」とし、失敗を隠蔽したという疑惑に関しては「結局、英政府は失敗した試験の存在を隠ぺいする決定を下した。この情報が公になった場合、わが国の核抑止力の信頼性にどれほど大きな傷が付くか分かっていたからだ」とし、国防の面からも公にできるようなことではなかったとしています。
ただ、今回の失敗はだたの失敗ではなく発射後に軌道を外れアメリカ大陸に向かっていった可能性があるとしており問題が深刻だとしています。
▼トライデント II D5の試験発射映像(今回の事故とは無関係です)
トライデント II D5ことUGM-133は水中発射可能な3段式の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)です。サイズは全長13.41m、直径2.11mで重量は58.5トンです。射程は7,400kmで推定11,000kmほどのあると考えられています。
トライデント II D5型はイギリスではヴァンガード級原子力潜水艦に搭載されています。