天の川銀河をはじめ中心部には超大質量ブラックホールが存在していると言われています。謎の多いブラックホールについて地球上の電波望遠鏡を連動させ巨大な観測装置とすることでブラックホールを直接観測すると報じられています。
世界に点在する電波望遠鏡を結び、地球規模の電波望遠鏡として動作させる「事象の地平線望遠鏡(Event Horizon Telescope:EHT)」が、4月5日~14日の期間で天の川銀河の中心にあるブラックホール「サジタリウスA*」を観測する予定です。もし観測が成功すれば、はじめてブラックホールの事象の地平線を視覚的に見ることができるかもしれません。今回観測されるのは天の川銀河の中心に存在するとされる超大質量ブラックホール『いて座A*(サジタリウスA*)』です。名前のとおり地球からみて射手座の方角、地球から25,900光年前後にあると考えられています。
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この天体の観測は国際的なプロジェクトとして計画され構想から実に20年。世界各国34の宇宙機関や大学が運用している電波望遠鏡とラジオ観測所を連動させることで人類史最大の仮想望遠鏡を構築することに成功しました。記事によると根本的な性能は異なるものの観測精度はハッブル宇宙望遠鏡の100倍以上など表現されているそうです。
この地球規模の仮想望遠鏡で観測するのはブラックホールで天文学者によると『事象の地平線』の観測が可能なのではないかと想定しています。
事象の地平線
事象の地平面、またはシュヴァルツシルト面など幾つか呼び方がされているのはブラックホールの領域(境界)を指す言葉です。ブラックホールの中心には重力が無限大の特異点が存在しています。いて座A*の場合この特異点から半径2,000万kmほどの距離に事象の地平線が存在していると考えれれています。事象の地平線に壁のようなものがあるわけではありません。よく言われる「ブラックホールは光さえも出てくることは出来ない」という表現はこの事象の地平線よりも内側に入った場合で事象の地平面の内側は脱出速度が光速を超えてしまっているためブラックホールの内側で発光したとしても観測することはできません。つまり事象の地平線の外側であれば周囲を回る物質等を理論上観測は可能ということになります。
▼ブラックホールの想像図。黒い球体のフチの部分が事象の地平線。
そこでこの事象の地平線の外側を観測しようと組まれた国際プロジェクトが「事象の地平線望遠鏡」になります。記事によると4月の観測データは非常に膨大な量になるとしており処理が終わり画像として見られるのは2018年頃としています。