火星

火星は大気圧は地球の1/100程度しかないとう厳しい環境が広がっています。これは地球に比べ重力が弱く太陽風により大気を失ったことが原因とされているのですが、火星に近い宇宙空間に磁気シールドを展開することで大気層を作り上げることができるという案があるそうです。

NASAが火星の大気を守る巨大磁気シールド構想を発表しました。地殻変動のない火星では地球のような磁場がないため、太陽風によって大気が宇宙へと吹き飛ばされてしまい、非常に薄い大気しかありません。ここに人工的に磁場を形成して地球のような大気層を作ってやろうという考えです。

Engadget
NASA、コロラド大学、プリンストン大学など複数の研究機関が共同で発表した論文によると、今後人類が火星に展開する上で様々な問題となる火星の薄い大気について火星に近い宇宙空間に強力な磁気を発生させる装置を設置し火星に届く太陽風を弱め大気圧を増加させ火星を温暖化させる案を提唱しています。

現在、火星には地球のような磁気圏がなく太陽から吹き出す太陽風により大気のそのほとんどを失ってしまいました。NASAによると太陽系初期の激しい太陽風により大気は急速に失われとしており、現在は太陽活動は弱まっているものの残り少ない薄い大気を毎秒100グラムの速度で流出させているとしています。

▼火星から見て太陽の方向に設置された磁気シールドのイメージ
火星磁気シールド

今回の研究はについては火星の太陽の直線状にあるお互いの重力がちょうど釣り合う『ラグランジュ点 L1』(火星半径の320倍程度)の宇宙空間に1~2テスラ(10,000〜20,000ガウス)の磁束密度のあるアクティブシールドを設置する必要があるといいます。この1~2テスラというのは病院にあるMRIほどの磁束密度になります。

仮にこの磁気シールドを設置出来た場合どのような効果があるのかについては、厚い大気層ができることで火星の地表温度が上り再び水を湛えた惑星になる可能性があること、大気と磁気シールドの効果により火星地表に降り注ぐ宇宙放射線が減り宇宙飛行士の外部被曝量減ること、そして大型の宇宙船を着陸させるために大気による十分な減速が可能となるなどが挙げられています。

問題はこの磁気シールドを作ることができるのかという点になるのですが、人工の磁気シールドは例えば長期間の宇宙滞在が必要となる火星有人探査計画や深宇宙探査にも重要な技術になると考えられ同様のシステム開発は今後何らかの場面で登場してくるものと考えられます。