海水

地球上に存在する水の大半おそよ89%は海水で陸上で生きる生物にとっては有益なものではありません。そこで海水を淡水化する『海水淡水化技術』により人間や植物が使うことができる水を生産する方法があるのですが、そこで必要になるグラフェン酸化物というものを今後大量生産できる可能性があると報じられています。 

炭素原子が単層で広がる特殊な形状をした「グラフェン」は、半導体材料や触媒、蓄電端末などさまざまな分野での利用が期待されている物質です。このグラフェンの酸化膜を使って「海水を淡水化する薄膜」として利用できる可能性がイギリスの研究者によって示されています。
海水淡水化技術についてはいくつか方法があるのですが、現在大型プラントで導入されているのは濾過膜を使用しウイルスや大腸菌は当たり前として、塩素イオンとナトリウムイオンすらも通過できない極小の穴の空いた膜を通過させ水分子のみを取り出すというものです。

この特殊な膜は半導体材料や触媒で使用されているグラフェンを代用することができるという案があるものの、グラフェンを安価に大量生産する方法が確立されていないことや水分子が通り抜けることができる1ナノメートルの穴を開ける方法が困難という理由から使用が困難でした。

一方、マンチェスター大学の研究者は溶液から作り出すことができるグラフェン酸化物であれば大量生産することが可能だとしており、今後の研究開発次第ではより低コスト運用可能な淡水化できるプラントが誕生する可能性があるとしています。

▼逆浸透法(RO)による海水淡水化技術
海水淡水化技術

グラフェンを使用した海水淡水化技術を使用した場合、大型プラントで導入されている逆浸透法(RO)を使った海水の浄化よりも施設性能を高性能化することが可能です。逆浸透法では海水を80バールまで加圧しなければならず大量のエネルギーを消費する一方、グラフェンではより弱い水圧で水を透過させられるためエネルギー消費が少なくて済むというメリットがあります。また逆浸透法と同じ水圧をかければ数百倍多くの淡水が得られるとされています。