image_7

未婚で亡くなった人と共に異性の遺体や遺骨を葬るという『冥婚』。これは古くからある習俗なのですが、その文化が残る中国では冥婚が禁止されているものの女性の遺体と遺骨が高値で取引されるケースがあり問題となっていると報じられています。

2017年4月5日、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト電子版は、中国本土で1949年に禁止された「冥婚」の風習が現在も一部地域で残っており、女性の遺骨が高額で取引される事例が起きていると伝えた。

記事は新華社の報道を引用し、北部を中心とする中国の一部地域の村では死亡した未婚男性の遺族が女性の遺骨を購入して一緒に埋葬する「冥婚」の風習が残っており、遺骨の盗掘が相次いで発生していると紹介。

Record China
冥婚、陰婚、死後婚、死後結婚などといくつか呼び方があるように古くから亡くなった未婚の人物とその異性の遺体や遺骨を共に埋葬するという習俗が中国を中心に世界中で確認されています。特に現在もその文化が残る中国では「子孫の隆盛に悪影響を与える」などいくつかの理由から冥婚が行われるケースがあるものの中国共産党は『冥婚は悪しき習慣』とし禁止。しかし21世紀に入った現在も密かに冥婚が行われ続けています。

冥婚の問題は幾つかあるのですが、まず違法な冥婚業者や窃盗団が勝手に女性の遺体が埋まる墓を掘り返し遺体や遺骨を奪い去るという遺族にとっては耐え難い行為を行っていることです。記事によると、山西省洪洞県では2013年以降でも少なくとも27体の女性の遺骨が盗まれていると報告されています。しかし、あくまで確認された件数であり「遺骨が盗まれた」ということを周囲に隠したいため通報せず泣き寝入りしている遺族が多くいるのではないかとされています。

なぜ遺骨が未だに盗まれるのか。これは『需要』があるという単純な理由なのですが、記事によると昨年4月には同じく山西省洪洞県で未婚で死んだ息子に冥婚させてやりたいと遺族が18万元(約288万円)で若い女性の遺骨を購入。埋葬した後、遺骨を盗まれないよう見張っている姿が確認されているといいます。

冥婚については過去にも何度か報じられているのですが、近年遺体や遺骨が高騰していることにも問題があると考えられます。2014年、冥婚を理由に女性の遺体や遺骨の窃盗および販売していたとして逮捕された窃盗団によると「死んだばかりの死体は1万6000元から2万元(25万~32万円)で売れる。骨だけの死体は値段が低い」と話しており、少なくとも数倍から10倍ほど高騰している可能性も考えられます。

窃盗からすれば女性の遺体や遺骨を食い物にしているだけに過ぎないのですが、冥婚の習慣が残る地域や田舎では遺族が遺体を守ろうと数週間に渡り墓のそばで寝泊まりする場合や墓そのものをコンクリートでガチガチに固めるという対策が行われているといいます。