2016年の1年間で30隻近い軍艦を配備させた中国海軍。この数はロシアやアメリカをも超えており世界最大の軍拡を行っていることで間違いないのですが、その海軍で重要な空母について遼寧号の“設計者”と名乗る人物が今後の空母の配備計画にコメントしていると報じられています。
建造中の中国初の国産空母の進水時期が多方面から注目されているが、中国の空母に関して、中国初の空母「遼寧号」の設計責任者を務めた朱英富(ジュウ・インフー)氏が6日、中国の空母事情について語った。四川在線が伝えた。中国、四川省の日報などを掲載しているポータルサイト『四川在線』によると、遼寧号の設計者などと語る朱英富 氏によると「米国は10隻の空母を保有しているが、中国はそこまでの数は必要ない。最低3隻必要だが、4、5隻あるとなおいい」と発言していると報じています。
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また朱氏は今月進水した空母についても語っており「遼寧号の建造を経て、中国は空母の建造における多くの経験を得た。さらに、専門の人材も育成し2隻目の空母は遼寧号の建造よりもスムーズに進む(空母進水前の取材時)」と説明。また蒸気及び電磁カタパルトや原子力技術も必ず確立させると主張しており今後建造される空母に搭載されるとしています。
▼黒海から中国に向かうヴァリャーグ
朱氏の発言について、まず中国初の空母となった『遼寧号』はあたかも中国が自国で設計し生産したとの主張になっているのですが、この艦はそもそもソビエトで設計・建造されたアドミラル・クズネツォフ級航空母艦「ヴァリャーグ」です。これをウクライナから海上カジノとして使うとし中国が偽装購入し後に空母として改装したものが遼寧号になります。朱英富氏があたかも「遼寧号の設計者(つまりヴァリャーグの設計者)」などと記事では書かれていますが誤りです。
先月進水した中国国産空母についてはその船体の構造、特に見た目はヴァリャーグの設計とほぼおなじでありその上で設計者などと名乗ることができるのかは微妙なところです。
朱英富氏は1941年生まれで1982~84年にアメリカ・カリフォルニア大学バークレー校で造船技術と流体力学を研究。その後中国に帰国し1995年以降は技術者として様々な賞を受賞しています。2011年には技術分野の最高研究機関、中国工程院が与える最高位の称号『中国工程院院士』に選出されています。
補足:空母を偽装購入した中国、決め手は“酒”? : ZAPZAP!