
天体の土砂などを地球に持ち帰るサンプルリターン。JAXAはフランス国立宇宙センター(CNES)と共同で火星の衛星フォボス、もしくはダイモスのサンプルリターンを2020年以降に実施すると発表しました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)とフランス国立宇宙センター(CNES)は4月10日、JAXAが進めている火星衛星サンプルリターンミッション(MMX)に関して協力する取り決めに署名した。日本の火星探査計画にフランスが参加する格好だ。JAXAが2020年前半を目処に打ち上げを目指しているのは火星衛星へのサンプルリターンミッション『MMX(Martian Moons eXploration)』という計画です。これは火星を周回する衛星、フォボス(直径23km)もしくはダイモス(直径12km)のどちらかに着陸し堆積物(土砂)を持ち帰るというもので、この衛星の成り立ちから火星をはじめとした太陽系における惑星成形の謎を解明することが目的です。
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▼火星の衛星フォボス。火星の表面からわずか6,000km以内という極めて近くを周回している衛星。

▼火星の衛星ダイモス。フォボスの外側を周回する衛星。火星の重力に捕捉された小惑星と考えられているものの正体は不明。

その探査機の開発についてフランス国立宇宙センター(CNES)と共同で行うことが発表され具体的にはCNESは火星衛星へ接近するための軌道計算、サンプルを採取する小型着陸機、そして水分を正確に計測できる近赤外線分光計(赤外線カメラ)の開発を協力することになったとしています。
JAXAによると探査機の打ち上げは2024年に行い翌年2025年に火星周回軌道に投入。その後、探査及び着陸・サンプル採取を行い地球帰還は2029年を想定しています。2017年時点でフォボス及びダイモスには着陸機が送り込まれたことはなくサンプルリターンについても世界初試みということになります。
▼火星地表から見たフォボス(左)、ダイモス(左上)、地球から見た月の大きさとの比較。
