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GPS衛星などに搭載されていることで知られている原子時計。この原子時計よりも遥かに精度の高い超高精度時計の開発が進められているものの、その正確性を測るには測定器そのものが原因で正しく測定できないという問題があるそうです。

どんなに高性能な時計をもってしても、時間を正確に測定するのには限界がある──。こんな結論を導き出したのは、ウィーン大学とオーストリア科学アカデミーの物理学者チームだ。彼らは、量子力学と一般相対性理論を組み合わせて考慮すると、高精度な時計が刻む時間は、同じ空間で測定する際に途端に“ぼやけて”しまうという現象を、『米国国立科学アカデミー紀要』(PNAS)にて説明している。

WIRED.jp
3000万年に1秒程度しか誤差がないと言われる原子時計。私達からするとなぜそこまで正確な時を刻む必要があるのか理解に苦しむところですが、例えばGPS衛星に搭載された原子時計であれば衛星から出た複数の電波を受診するまでの時間差から地球上のどの位置で受診しているのか割り出すことができます。そのため極めて正確な時を刻まなければ受信機の位置が特定することができず、海のど真ん中で受診しているという誤った表示をしかねません。

陰ながら私達の生活を支えている原子時計について更に高精度な時を刻む超々高精度な光格子時計が日本の東京大学を始め研究されています。その誤差は130億年~300億年に1秒ずれる程度というものです。
しかし、光格子時計が本当に正確に時を刻んでいるのか測定しようとした場合、ウィーン大学とオーストリア科学アカデミーの物理学者チームによると「ぼやけてしまう」と表現する現象が発生するといいます。いったいこれはどいうことなのでしょうか。

私たちは感じとることはできないものの質量のあるものや速度の変化により時の刻み方が変化します。例えて言うならば電車に乗っている人と歩いている人、立っている人の頭の上と足の指先では微妙に時間の進み方が異なっています。つまり超々高精度の時計の正確性を測定しようとした場合、その測定器自身の質量が時空を歪ませてしまい正確な測定が難しくなるという問題があるというのです。

現在、GPSに搭載されている原子時計も例外ではなく地上とは異なる時の進みを補正することで運用されています。しかし原子時計も開発された当初は何に使う事ができるのか評価は高いものではなかったと言われています。この次世代の超々高精度時計が誕生することで例えば歩行速度程度での時空の歪みを測定することができる他にも、直接目で見ることは出来ない地下の様子をより正確に探ることができるなど様々な分野での活躍が期待されているとのことです。