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「50mプール2つ分以上の翼」と表現するとその巨大さがわかると思うのですが、アメリカの民間宇宙開発ベンチャー『ストラトローンチ・システムズ』はロケットを空中発射する専用の航空機『ロック』を初披露したと報じられています。

2011年、マイクロソフト共同創業者のポール・アレン氏と航空宇宙機メーカー、スケールド・コンポジッツ創業者のバート・ルータンにより設立されたストラトローンチ・システムズは巨大航空機の中央にロケットを搭載し空中発射する専用機『ストラトローンチ』(愛称:ロック)を2013年より開発・製造しているものになります。

ロケットをつり下げて離陸・打ち上げ可能な超巨大ロケット打ち上げ飛行機「Roc」が初公開 - GIGAZINE



こちらがストラトローンチ・システムズが開発を進めている空中発射発射ロケットです。母機となるストラトローンチは翼幅117mで完成すれば世界最大の航空機となりその重量は120万ポンド(約544.3トン)になる予定です。翼に搭載された6つのジェットエンジンはボーイング747型機に使用されているもので搭載できるロケットの最大重量は55万ポンド、226トンになります。

▼母機『ストラトローンチ』、機首が凹んでいるもののここには空中発射ロケット発生する熱に対応するため耐熱パネルが搭載されるとのことです。
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一方搭載するロケットについてはオービタル・サイエンシズが開発を進めている空中発射ロケット『サンダーボルト』が運用されます。サンダーボルトは空中で切り離されそのまま宇宙空間を目指します。ロケットの性能は国際宇宙ステーションが周回しているような低軌道へ4,500kgになります。これは同じくオービタル・サイエンシズが運用するアンタレスロケットとほぼ同じ性能となっています。

ストラトローンチ・システムズによると、母機ストラトローンチとサンダーボルトかなる全体を『イーグルス・ローンチ・システム』と呼んでいます。また同社のイメージ画像によると3連ラックを搭載することで一度に3機のペガサスXLロケットを一度に打ち上げることできるとしています。

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Photo:Stratolaunch Systems Corp.
空中発射ロケットは現在オービタル・サイエンシズが旅客機を改造した母機『スターゲイザー』とロケット『ペガサス』が実際に運用されています。またヴァージングループは(元ヴァージン・ギャラクティックの事業)はボーイング747で5基目のエンジンを搭載できる特殊機を改造し小型ロケットを発射できる母機『ランチャーワン』を開発しています。

空中発射ロケットの利点としては雲の上で打ち上げを行えるため通常のロケットよりも天候に左右されず打ち上げ可能なこと、赤道に近い空域にまで飛行し上空から打ち上げることで小型のロケットであっても効率よく打ち上げができるなど利点があると言われています。

ストラトローンチ・システムズが計画するロケット打ち上げ計画は当初の予定よりも年単位で遅れています。その上で今後の予定としてストラトローンチのエンジンの燃焼テスト実施し、2019年にも初のロケット打ち上げを目指す予定です。