X-37B

長期間宇宙に滞在した後、翼の揚力で滑走路に着陸する米空軍が運用している無人スペースプレーンX-37B。この全長9m近い機体の打ち上げについて地球低軌道への打ち上げをスペースXにより実施すると報じられています。

Reutersなど複数メディアによると、今月行われた上院軍事委員会の場でアメリカ空軍が運用しているX-37B OTV (Orbital Test Vehicle)という無人スペースプレーンについて今年8月、5回目の打ち上げでは初めてスペースXのロケットで実施すると報じられています。

米スペースX、空軍宇宙機「X-37B」打ち上げ契約を初獲得 | ロイター

X-37B OTVをはじめ米軍が運用する軍事衛星は本来は大手航空宇宙企業で軍需企業でもあるロッキード・マーチンとボーイングが設立した合弁会社ユナイテッド・ローンチ・アライアンスのアトラスVロケットが長らく使用されていました。

▼フェアリングに収められるX-37B(以前の打ち上げられたもの)
X-37B_1

スペースXが打ち上げるX-37B OTVはボーイングが製造したもので『X-37A』はNASAと国防高等研究計画局が、X-37Bは米空軍がそれぞれ運用しているもののX-37Aについては宇宙空間に送られてはおらず大気圏内で投下し着陸するなど試験に使用された程度となっています。

前回の4回目の打ち上げは2015年5月にアトラスVロケットにより行なわれ718日間宇宙に滞在し2017年5月に帰還していました(参考)。今年8月に行なわれる5回目の打ち上げでも1年以上の長期滞在になると考えられます。

▼X-37Bの裏側(以前の打ち上げられたもの)
X-37B_2

アメリカにおける軍事衛星の打ち上げ

アメリカの民間企業スペースXは今年5月に米国防総省が運用する軍事衛星の打ち上げを初めて実施するなどこれまでナイテッド・ローンチ・アライアンスの事業を行うようになりました。始まりは2014年4月28日、スペースXが「ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが軍事衛星打ち上げの長期契約を結んでいることで市場競争が妨げられている」として米連邦請求裁判所に訴えたことにあると考えられます。

その後、2016年に米軍が運用する軍事衛星の1つであるGPS衛星の打ち上げ契約を獲得。この衛星については2018年頃の打ち上げを目指しているのですが、今年5月にスペースXにより軍事衛星が打ち上げられるなどかれこれ10年以上軍事衛星の打ち上げとして高額なロケットで独占し続けていたユナイテッド・ローンチ・アライアンスの事業について「スペースXが風穴をあけた」と報じられていました。