Asteroid Redirect Robotic Mission

アメリカ航空宇宙局(NASA)が計画していた小惑星を捕獲し有人飛行にてサンプルリターンを行うARM計画について「出資が中止となった」として、事実上この計画は中止となったと報じられています。

NASAによる、小惑星の岩石を月の側から持ち帰るサンプルリターン・ミッション「アーム計画(ARM)」。このミッションはトランプ政権のスタートとともに計画のキャンセルが予測されていたのですが、どうやらやはり中止する方向へと歩みが向けられているようです。

sorae.jp


今回、計画が(事実上)中止となったと報じられているのはAsteroid Redirect Robotic Mission(ARM)というNASAが行うとしていた有人飛行を含む小惑星サンプルリターンミッションです。

この計画は元々オバマ元大統領が2010年4月にブッシュ元大統領の月面有人探査、及び基地建設を行い火星の有人探査を行うという政策を撤回し、人類初の小惑星有人探査を行い火星の有人探査を行うという計画に変更していたものです。
当初、「小惑星への有人探査が将来の火星有人探査のリハーサルになる」などと地球に接近する小惑星へ直接有人飛行を行いサンプルを持ち帰るという内容になっていました。しかし、実際の計画では小惑星を捕獲し月に近い軌道にまで輸送。その後、有人宇宙船を送り込み人間の手により欠片を持ち帰るというものに変更されました。(持ち帰る小惑星のサイズが縮小されるなど一部変更もされています)

この計画については2015年時点でアメリカの共和党が反対。その理由の1つとして中国やロシアが有人月面探査計画を進めておりこの計画では成果が薄れてしまうなどと主張していました。結果的に共和党のトランプ大統領が誕生したことを受けオバマ元大統領の小惑星有人探査計画を撤回することになったということのようです。

今後は月に近い軌道に規模の小さい宇宙ステーション『ディープ・スペース・ゲートウェイ』(DSG)を建設し将来的にここから火星を目指すという方向で計画が発表されています。またディープスペースゲートウェイは有人火星探査以外でも様々な目的で使用されると言われており小惑星や月のサンプルを持ち帰る中継基地として将来利用される可能性も考えられます。