image_18

大小様々な旅客機には通常2名のパイロットが配置されています。これは昔から変わっていないのですが、大手航空機製造メーカーボーイングは来年にもコックピットからパイロットを排除し無人技術採用した機体の飛行試験を行うとしています。

ボーイングが、航空機の自律飛行技術の開発に乗り出した。目標はパイロットを必要としない、自力で飛行するジェット旅客機をつくることだ。同社の製品開発部門でヴァイスプレジデントを務めるマイク・シネットは、2017年6月中旬に開催された「パリ航空ショー」に関する記事のなかで、すでに自動操縦ドローンは1,000ドル以下の価格で売られていると指摘し、「この技術の基礎は間違いなく実現可能です」と語った。

WIRED.jp
近年急速に技術開発が進められている無人技術。航空機における無人技術は主に軍用に開発されているものが多く無人攻撃機に代表される遠隔操作により操縦されるものや、ロッキード・マーティンは戦闘機を遠隔操作すらも必要のない完全自律型無人機として生まれ変わらせた例が存在します。

参考:F-16、完全自律機として生まれ変わる 将来はF-35と行動も : ZAPZAP!

ボーイングが開発しているのは完全自律型の旅客機で人工知能を搭載したものを導入することでコックピットから機長・副機長を排除しようというものになります。この技術は今年中にシミュレーター上で来年には実機を用いた試験が行なわれます。

現在の航空機は離陸から着陸まで永遠と機長らが操縦しているわけではなく大半がオートパイロットによる飛行です。一方、記事によるとオートパイロットの利用については各社で異なっており、例えばアシアナ航空では高度3000フィート(約914m)以上では手動による飛行が禁止。機長が着陸操作が行えなかった場合は副機長ではなく自動操縦で行うなど規則を設けているそうです。


コックピットの無人化技術については冒頭紹介したように幾つかパターンが存在しています。NASAでは『Distributed Flight Deck(分散フライトデッキ)』という案で開発を進めており機長1人がコックピットに残るものの副操縦士にあたる人が地上に移され遠隔操作にて12機の副機長になるというものがあります。
参考:次世代旅客機は無人機のような操縦になるのか : ZAPZAP!

この他には機長をサポートするロボットが搭載されるという案もあります。これはAurora Flight Sciencesとアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)が共同開発している『Aircrew Labor In-Cockpit Automation System:ALIAS』というもので、副機長の座席を取っ払いロボットアームのついた腕を搭載することで操縦桿からエンジン出力、正面パネルのボタン等をダイレクト操作するというものです。ALIASについてはどの航空機でも使用することができるという最大の特徴があり、過去にはオートパイロットと併用することでシミュレーター上での無人着陸を成功させています。
参考:ロボットアームによる旅客機の無人着陸に成功 : ZAPZAP!

▼セスナ機に搭載されたALIAS


▼シミュレーター上で無人着陸するALIAS