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先日、防衛省はイージス艦のミサイル防衛システムの地上配備型となる「イージス・アショア」の導入を決定し数基を日本に配備する計画が報じられました。世界的にも非常に珍しいイージス・アショアについていったいどのようなものになるのか簡単に紹介していきます。

弾道ミサイルを迎撃する手段として現在日本には陸上配備型のPAC-3、そして海上自衛隊の護衛艦イージス艦があります。特に後者は優れた防衛手段でもともと戦闘機など航空機を撃ち落とすために開発されたミサイルを大幅に拡張し音速の数倍もの速さで飛行する高高度の弾道ミサイルを運動エネルギーで直接叩くという方法がとられます。
しかし、弾道ミサイルを迎撃するには高価な高性能イージス艦を特定海域に常時展開しなければならず運用の面で問題があると言われています。

弾道ミサイル防衛に関してはPAC-3や韓国に配備されたことで知られるTHAADを併用し数段構成で防衛しているのですが、新たに高性能のイージス艦の弾道ミサイル迎撃能力をそのまま地上に配備するイージス・アショアが開発されました。

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こちらはルーマニアのデベセル軍用飛行場に建設された実際のイージス・アショアです。イージス・アショアはそっくりそのままイージス艦のシステムを地上にもってきた構造になっているといわれています。

イージス・アショアで運用されるミサイルはPAC-3やTHAADよりも射程が長く、日本であれば2~3基導入すれば北海道から沖縄まで防衛することができるとされます。具体的には運用するミサイルで射程は左右されるもののSM-3 ブロックIであれば1,200km、高度500km、改良型のブロックIIであれば射程は2,000kmを超えるともされています。また建設コストもTHAADよりも安価であるといわれています。