TDRS-M

今月18日、フロリダのケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げに成功したのは『TDRS-M』という通信衛星です。開発コストは1基、約450億円(打ち上げ費用別)という恐ろしい額になっているのですが一体何に使用する人工衛星なのでしょうか。

重量約3.4トン、地上35,700kmの静止軌道に送りこまれたのは『Tracking and Data Relay Satellite:TDRS』という人工衛星です。この人工衛星の役割は例えばハッブル宇宙望遠鏡や国際宇宙ステーションから送信されるデータを地上に送り届ける際に、その通信を中継するための人工衛星になります。



TDRSはNASAが運用する通信衛星で1983年~1995年にかけ第1世代となるTDRS-A~TDRS-G、第2世代となるTDRS-H~TDRS-Jは2000年から2002年に、第3世代となるTDRS-K~TDRS-Mは2013年以降今回を含め13基打ち上げています。

TDRSはNASAが使用する以外の他国の宇宙機関や米軍、一般企業も利用しており過去に発表されていた内容によると人工衛星の全通信帯域の1分間の利用料金は139ドル(約15,000円)です。また過去には米軍だけで年間7000万ドル(76億円)以上を使用していたとのことです。(ただし現在は米軍からの支払いは廃止されたとのこと)(参考)

TDRS-Mの設計寿命は僅か15年しかなく450億円の開発費用と145億円の打ち上げ費用は税金の無駄と感じられる米国民も多いと思うのですが、現代の宇宙開発には必要不可欠でありお金に関しても他国や企業のデータをやり取りするだけでも儲けが出るということになりそうです。