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アメリカの軍事大手ロッキード・マーティンは有人火星探査を実施可能とする離着陸機『MADV』を公開しました。同社によると火星軌道上に展開する『マーズベースキャンプ』から火星地表に垂直着陸可能な宇宙船と説明しています。

先月末、ロッキード・マーティンにより発表されたのは宇宙ステーション『マーズベースキャンプ』(以下MBC)から発進するMADV(Mars Ascent/Descent Vehicle)という4人が搭乗可能な有人宇宙船です。ロッキード・マーティンはこの2つを使用することにより人類初の有人火星探査を構想しています。

同社による『MARS BASE CAMP UPDATES AND NEW CONCEPTS』(PDF)によると宇宙ステーション『MBC』は地球に近い軌道に建造しその後、NASAが開発中の大型ロケットSLS『スペースローンチシステム』を2機使用しMADVを2機打ち上げ火星に輸送します。
さらに燃料に補給する補給機をSLSで打ち上げ火星に送り込みます。続いてSLS 2機を使用し有人のオリオン宇宙船を打ち上げ軌道上のMBCとドッキング。MBCはそのまま火星に移動しMADVにより火星有人探査を実施。MBCを地球に帰還させオリオン宇宙船で宇宙飛行士を地球に返します。

MBC-S Overall Mission Concept

これほどの規模になってしまう理由に関しては緊急時に備えたプランからMADVを2機打ち上げる必要があるためです。また燃料補給に関しては現在は地球からの輸送となっているのですが、将来的には火星地表や火星衛星から燃料を精製し補給するという案が考えられているとのことです。

▼マーズベースキャンプ、MBC
MBC

このように小型宇宙ステーションを建造し火星に輸送しさらに地球に返さなければならないという大規模なプロジェクトとなっており実際にこの通り計画が進む可能性はかなり低いと考えられます。またボーイングが提唱している月軌道に有人宇宙ステーション「ディープ・スペース・ゲートウェイ」を中継基地とした有人火星探査計画とは異なるもので最終的にはどちらかの案で計画が進められるものと考えられます。

▼SLS IBにより打ち上げられるMADV
MADV SLS

▼MADVの構造
MADV_1

MADV_2