アメリカのマイク・ペンス副大統領は先日、国家宇宙評議会の場でこれまでオバマ大統領が発表していた宇宙計画を撤回し再び有人月面探査を実施する計画を発表しました。
海外の複数メディアによると、バージニア州シャンティリーにあるスミソニアン国立航空宇宙博物館で開催された国家宇宙評議会の初会合でマイク・ペンス副大統領はオバマ大統領が発表していた宇宙計画を「リーダーシップの欠如」を批難した上でこれを撤回し再び月面有人探査を実施し火星有人着陸を目指す計画発表しました。
ペンス副大統領によると「(この計画は)NASAが宇宙飛行士を月面に戻すのは足跡や旗を残すためではなく、アメリカ人を火星に送る基礎を築くためだ」と主張しています。
NASA will put humans on the Moon again, Mike Pence tells space council - The Verge
具体的にはJAXAによるとディープ・スペース・ゲートウェイに参加し2019年度に実施する無人探査機「SLIM」の技術を用いて月軌道上のディープ・スペース・ゲートウェイと月面を行き来可能な月面着陸機を開発。このようにアメリカの宇宙開発に協力・貢献した上で日本人宇宙飛行士の月面探査を実施したいとしていました。
しかし、2009年に就役したオバマ大統領は2010年2月「月に一旦戻り、それから火星を目指せという人がいる。しかし、私はこう言いたい。我々は既に一度月に行っている」などと新たな宇宙政策を発表しブッシュ元大統領の元計画されたコンステレーション計画を撤回します。これによりコンステレーション計画で開発が続けられていたアレスロケットは廃止。それに搭載するとされていた有人宇宙船「オリオン」も廃止…されるのかと思いきや1年ほど息を潜め2011年5月、NASAは新型宇宙船こと多目的有人宇宙船「MPCV」を発表したもののそこにあったのは紛れもなくただリネームされただけのオリオン宇宙船そのものでした。
▼オバマ政権下で計画されていた小惑星有人探査。小惑星を地球に近い軌道に持ち帰り有人飛行によりサンプルを持ち帰るという計画だった。
オバマ政権下では月には行かない代わりに有人小惑星探査を行い最終的に火星に向かうとしていました。合わせて火星を目指すことができる「スペースシャトル派生ロケットの開発」が承認され大型ロケット『SLS』スペース・ローンチ・システムが発表されたものの、これも実質的にはブッシュ政権下で開発されていたスペースシャトル派生ロケットのアレスロケットを改良したものに留まってしました。
▼左からサターンV、スペースシャトル。コンステレーション計画で開発されていたアレスI、アレスⅣ、アレスV、一番右が現在開発中のSLS(スペース・ローンチ・システム)
そしてトランプ政権下ではオバマ元大統領が計画していた小惑星探査計画は早々に撤回され月軌道に小型宇宙ステーション『ディープ・スペース・ゲートウェイ』を建設しそこから火星に目指すという新しい計画が発表されてしました。ディープ・スペース・ゲートウェイに関してはコンステレーション計画では構想されたことがなかったものなのですが有人月面探査も実施可能と見方され注目されていました。今回ペンス副大統領が行った発表では結局のところコンステレーション計画、つまり月を目指し火星有人探査を実施するという計画に沿ったものに再び軌道修正する形となりました。
ペンス副大統領によると「(この計画は)NASAが宇宙飛行士を月面に戻すのは足跡や旗を残すためではなく、アメリカ人を火星に送る基礎を築くためだ」と主張しています。
NASA will put humans on the Moon again, Mike Pence tells space council - The Verge
日本に取っては嬉しい計画変更か
現在のところどのようにして有人月面探査、および月面開発を行うのかは発表はされていないのですが今後建設が予定されている月軌道上のディープ・スペース・ゲートウェイが活用される見込みがあります。実はこれに関して宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2030年に日本人宇宙飛行士による初めての月面探査を目指す方針を発表していました。当時は唐突な発表に違和感があったのですが、どうやら水面下でアメリカが再び有人月面探査を実施する計画が進んでいたと考えられます。具体的にはJAXAによるとディープ・スペース・ゲートウェイに参加し2019年度に実施する無人探査機「SLIM」の技術を用いて月軌道上のディープ・スペース・ゲートウェイと月面を行き来可能な月面着陸機を開発。このようにアメリカの宇宙開発に協力・貢献した上で日本人宇宙飛行士の月面探査を実施したいとしていました。
やはり復活したコンステレーション計画
過去から現在までアメリカの宇宙計画はどうなっていたのかについて簡単に紹介すると、これは2004年1月にジョージ・W・ブッシュが発表した「新宇宙政策」にまで遡る必要があります。ブッシュ元大統領は新宇宙政策として最終的に有人火星探査を目指すとしてその足がかりとして再び有人月面探査を行うとしていました。これはコンステレーション計画と言われていたものです。しかし、2009年に就役したオバマ大統領は2010年2月「月に一旦戻り、それから火星を目指せという人がいる。しかし、私はこう言いたい。我々は既に一度月に行っている」などと新たな宇宙政策を発表しブッシュ元大統領の元計画されたコンステレーション計画を撤回します。これによりコンステレーション計画で開発が続けられていたアレスロケットは廃止。それに搭載するとされていた有人宇宙船「オリオン」も廃止…されるのかと思いきや1年ほど息を潜め2011年5月、NASAは新型宇宙船こと多目的有人宇宙船「MPCV」を発表したもののそこにあったのは紛れもなくただリネームされただけのオリオン宇宙船そのものでした。
▼オバマ政権下で計画されていた小惑星有人探査。小惑星を地球に近い軌道に持ち帰り有人飛行によりサンプルを持ち帰るという計画だった。
オバマ政権下では月には行かない代わりに有人小惑星探査を行い最終的に火星に向かうとしていました。合わせて火星を目指すことができる「スペースシャトル派生ロケットの開発」が承認され大型ロケット『SLS』スペース・ローンチ・システムが発表されたものの、これも実質的にはブッシュ政権下で開発されていたスペースシャトル派生ロケットのアレスロケットを改良したものに留まってしました。
▼左からサターンV、スペースシャトル。コンステレーション計画で開発されていたアレスI、アレスⅣ、アレスV、一番右が現在開発中のSLS(スペース・ローンチ・システム)
そしてトランプ政権下ではオバマ元大統領が計画していた小惑星探査計画は早々に撤回され月軌道に小型宇宙ステーション『ディープ・スペース・ゲートウェイ』を建設しそこから火星に目指すという新しい計画が発表されてしました。ディープ・スペース・ゲートウェイに関してはコンステレーション計画では構想されたことがなかったものなのですが有人月面探査も実施可能と見方され注目されていました。今回ペンス副大統領が行った発表では結局のところコンステレーション計画、つまり月を目指し火星有人探査を実施するという計画に沿ったものに再び軌道修正する形となりました。