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人類が唯一地球以外の天体に降り立ったことがある月。現在月には極めて薄く大気があるものの私達が暮らす地球環境の実に100兆分の1程度しかなくほぼ真空です。しかし、かつて月には現在の火星より厚い大気があった可能性があると報告されています。

先月25日科学雑誌、Earth and Planetary Science Lettersに掲載された論文によると今から35億年前の月には高度100kmまで達する大気の層があった可能性があったとしています。これはアポロ計画で持ち帰った土壌サンプルや月探査機ルナ・リコネサンス・オービターの観測結果から割り出したもので、実に7000万年間もこの大気を維持していた可能性が示されているとのことです。

Lunar volcanism produced a transient atmosphere around the ancient Moon - ScienceDirect
New NASA Study Shows Moon Once Had an Atmosphere

▼月の大気を作り上げた溶岩(玄武岩)を示す地図
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Photo:Debra Needham
現在その殆どが失われている月の大気は古代の月で発生した火山活動により放出されたものと考えられています。その活動がピークだったのは今から35億年前と考えられており、この時の大気圧は最大で火星の1.5倍に達していた可能性があるとしています。

またこの火山活動では大量の水蒸気が放出されています。これらの水に関して過去行われた複数の観測によると極地にあるクレーター内部に推定で約6億トンの氷として残っている結果が示されていました。

ちなみに35億年前の地球についてはこれまで生物(バクテリア)の活動を示す最古化石が見つ買っています。そしてその3億年後の32億年前に光合成をする生物が現れ、そこからアンモナイトが誕生するまでには実に27億年という歳月を要しています。