浮体式洋上風力発電

イギリス、スコットランド沖に設置されたのは洋上風力発電所です。実はこの装置、海底に固定されていない浮体式となっており、この方式としては初めて営業運転を開始したと報じられています。出力は30MWで2万世帯に電力を供給できる能力があります。

英国のスコットランドといえば、風光明媚なハイランド地方とタータンチェックのキルトを着た人々を思い浮かべるかもしれない。だが、もうひとつ名物が加わった。浮体式洋上風力発電による海上発電所が世界ではじめて営業を開始したのだ。ピーターヘッドという町から約25キロ沖の北海の洋上に、大型の風車が浮かび、発電を行っている。

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風力発電所といえばその多くが陸上に設置されているのですが、欧州では洋上で発電を行う洋上風力発電所が1990年代から設置され始めました。しかし、これらは海底から突き出す形の『着床式』となっていました。



ノルウェー最大の国営エネルギー企業『スタトイル』が設置したのは海底に直接固定されていない『浮体式』です。これは海底にアンカーを沈めワイヤーで動かないように繋げられています。同社は2009年、ノルウェーで世界初の実用的な浮体式洋上風力発電施設『Hywind(ハイウインド)』を建設していました。



スコットランド沖に設置されたこの洋上風力発電は高さ250m、海中に沈んでいる長さが80mという巨大な風車でノルウェーからはるばる1600kmも運ばれてきたものだといいます。この風車は直径5mの3つのアンカーで固定されています。
出力は1基あたり6MW。これが5基設置されておりスコットランドの平均的な家庭2万世帯に電力を供給できる能力があります。

建設コストは驚きの…約300億円!?

6MWの発電を行う風車1基あたりコストは60億円という極めて高コストな施設になっています。合計で2億ポンドという桁違い額になっている理由については現在のところ次の建設予定が計画がないということなど幾つか理由があるとのことなのですが、同社としては今後1基あたり12MWの発電能力のある風車の開発を進めるとのことです。

浮体式が普及するか否かは不明なのですが、従来型の着床式洋上風力発電は『浅い水深』が必須条件となっていたもののスコットランド沖に建設されたものは水深120m程度のところに設置されています。同社によると浮体式では最大で700mの水深でも建設は可能だとしています。

同社は大規模な洋上風力発電を計画しているハワイ、カリフォルニア、そして日本への建設も予定しています。スタトイルは2012年にHitz日立造船株式会社と浮体式洋上風力発電に関する技術提携を締結しています。