太く短いものから長く細いものまで鳥により様々な形状をしている『くちばし』。その中でも一部の鳥のくちばしが急速に変化している確認されていたことに関して、人による餌付けにより進化した可能性があると研究結果が発表されいます。
野生動物とお近づきになりたいなら、鳥の給餌器を設置するのがお手軽だ。けれども、私たちの悪気のない気晴らしが、身近な鳥たちの姿を変えている可能性が出てきた。鳥類学において重要な研究種とされるシジュウカラ。イースト・アングリア大学はイギリスとオランダに生息する自然のシジュウカラ3000羽についてDNA配列を調査した結果、両者にくちばしの形とその関連した領域に差があることがわかったといいます。
英国イースト・アングリア大学の進化生物学者ルイス・スパージン氏らの研究チームは、給餌器から餌を食べることで、シジュウカラの仲間(Parus major)のクチバシが長く進化しているかもしれないことを発見した。
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そこで、両国のシジュウカラは生体のくちばしの長さに差が生じているのではないかと調査をした結果、実際に長さが異なるという結果が得られたそうです。
▼シジュウカラ(ドイツ)
研究チームによるとくちばしが長くなっていたのはイギリスのシジュウカラで近年非常に早いスピードで長いくちばしをもった個体が確認されているとしており、一方オランダでは他国で見受けられるような程度の長さになっていたといいます。
そこで改めてイギリス国内で『長いくちばしの個体』と『短い個体』のグループを追跡調査したところ、『長いくちばしの個体』は自動給餌器まで頻繁に食べに来ていることがわかったそうです。
鳥類とくちばしについてはガラパゴス諸島の島々にのみ生息する固有種、ダーウィンフィンチという10数種が有名です。それぞれのフィンチは近縁の種にも関わらず何を食べているのかでくちばしの形状がそれぞれ進化したもので、文字通り後に『進化論』の重要な材料になったことで有名な鳥になっています。
▼ダーウィンフィンチ。食べ物により異なるクチバシの形状