KIC 3542116

天の川銀河にある無数の太陽系外惑星系にも彗星が行き来していることは想像できるのですが、NASAのケプラー宇宙望遠鏡を使用した観測で初めて彗星と考えられる天体が恒星を公転している観測結果が確認されたと報じられています。

マサチューセッツ工科大学の宇宙物理学者Saul Rappaport教授率いる研究チームは地球から800光年離れた恒星『KIC 3542116』で彗星の尾で遮られたと考えられる光の変化に関して最新の研究結果を報告しています。

Scientists detect comets outside our solar system

この現象は元々アマチュア天文学者のトーマス・ジェイコブス氏がケプラー宇宙望遠鏡が得たデータを分析したことで発見されていたものになります。これは地球の方角からみて恒星『KIC 3542116』の明るさが減少するというもので、Rappaport教授によると最新の観測データとして光は1~10%ほど遮断されていることがわかったとしています。現在のところ惑星により遮られたものではないと考えられており、予想では『彗星の尾』とし彗星が天体の光を遮る現象を初めて観測したものだと話しています。

ケプラー宇宙望遠鏡
▲ケプラー宇宙望遠鏡 現在姿勢を制御するリアクションホイール4つのうち2が故障したことで主観測ミッションは終了し観測を続けています

ケプラー宇宙望遠鏡は打ち上げから4年間、200,000の惑星系を観測しうち2,400で系外惑星を発見しています。その中で恒星の前を惑星が通過することで発生する光の減少の検出は最も小さいものでも地球サイズの1/3程度でした。

具体的に光の見え方については通常の岩石やガス惑星であれば急速に暗くなり急速に明るくなるという『Uの字』グラフを描くものの、彗星の場合は急速に暗くなるものの徐々に明るくなるという「しの字」のような異なる傾向を示すといいます。
観測データからKIC 3542116には3つの彗星が公転していると考えられています。