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端末の動作速度を半分以下にまで抑えるソフトウェアを組み込んでいたアップル。端末購入後わずか1年後にも発生する『アップルタイマー』問題で113兆円という天文学的数字の賠償を求めていることが明らかになりました。

Appleが「iOSのバージョンアップごとに古いiPhoneの性能を意図的に落としている」ことが明らかになり、一部のiPhoneユーザーがAppleに損害賠償を求める集団訴訟を提起したのですが、なんと原告側はAppleに9990億ドル(約113兆円)の支払いを求めていることが判明しています。
場合によっては端末を購入してから早ければ1年もしないうちに性能が落ち始め元の動作速度より半分以下の処理速度になってしまうことが判明したのはアップル社のスマートフォン『iPhone』です。この隠し仕様についてアップル側は「顧客に最高の経験を届けるため」などと意味不明の回答をしていることについて、新たな動きがありました。

今回、原告側は113兆円というアップルの時価総額を超える賠償を求めていくことが明らかになったものの、相当な怒りを買っているアップル社の対応について、いったい何が問題だったのでしょうか。

この問題はあるiPhoneユーザーが端末のバッテリー交換をしたところ本体の性能を図るベンチマーク測定の結果がバッテリーの交換前後で異なっていたという内容を投稿。その後、Geekbenchというベンチマークを集計しているサイトがデータを公開したところ同じ端末にもかかわらずベンチマークの結果に違いがあったことが判明しました。

▼iPhone6s (iOS 11.2.0)におけるベンチマーク結果。同じ端末にもかかわらず動作速度が異なる。
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そのことを受けアップル側はバッテリーの劣化、つまり電圧の低下などで端末がシャットダウンするなどの不具合を避けるため意図的に動作速度を遅くする仕様をiOSに組み込んでいたと発表しています。アップル側はその上で「最高の経験を届けるため」などと主張しているものの、1台10万円を超える端末が早ければ1年程度で動作が遅くなるという『最高の体験ができる仕様』についてはこれまで利用者には一切公表していませんでした
そのことから原告側はアップルはシャットダウン回避目的ではなく、意図的に動作速度を遅くし不便を感じさせることで新しいiPhoneに買い換えさせるのが狙いだという趣旨を訴えで集団訴訟に出ました。


アップルによるとこの機能制限をしているのは2016年からでiPhone 6、6s SE、iOS 11.2からはiPhone 7を追加、更に他の機種でも同様の機能を追加していくと発表しています。

iPhoneは旧iOSでは正常な動作をしていたにもかかわらず、iOSの更新を行った途端に端末の動作が重たくなることが確認されていました。しかし、そのような場合であってもiOSを元に戻すバージョンダウンなどは一切行うことができませんでした。またバージョンアップを行わなければ最新のアプリがダウンロードできないこともあり、必然的にバージョンアップを行わなければなりませんでした。
動作速度を復活させるには事実上バッテリーを交換するか端末を買い換えるしか方法はなく、利用者に明らかな不利益が生じていたにもかかわらずアップル側はこの問題を公表せず隠し続けていたということになります。

いずれにしてもiPhoneはバッテリー劣化の有無によって端末の動作速度が変わってしまうというのは事実です。また端末の処理速度という価値が失われることから特に中古の端末を入手する場合はiOSのバージョンとそのベンチマーク結果がどのくらいかを確かめて購入しなければならないといえます。
一方で、同様の仕様を他のAndroid OS搭載のスマートフォンでも実装していることも考えられるため今後、端末の下取りではバッテリーの消耗率などの提出を求められる可能性あります。