093B型原子力潜水艦_3

今月、沖縄県の宮古島と尖閣諸島の大正島の接続水域に立て続けに侵入した中国の攻撃型原子力潜水艦。この潜水艦について中国政府は「把握していない」などと理解し難い回答をしているのですが、この原潜は結局何がしたかったのでしょうか。

今回の事案について中国政府、そして日本側の受け止め方は異なっています。まず中国側は日本の護衛艦が尖閣諸島の大正島の接続水域に入ったため中国の艦艇を侵入させたと主張しており「原因は日本が作った」と主張しています。

一方、日本側はその前に中国海軍の原子力潜水艦が宮古島の接続水域と大正島の接続水域に侵入していたと発表しています。報道では自衛隊の護衛艦は少なくとも大正島に原潜が侵入した時点で追跡を開始しており、その過程で大正島の接続水域内に入っていたとしています。つまり「原因は中国(原潜)が作った」としています。

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Photo:朝日新聞
当初から中国側の説明では原子力潜水艦の存在は隠され「護衛艦が大正島に侵入したことに原因がある」と主張を繰り返しています。先日、中国メディアも複数取り上げている原潜については中国政府は「(原潜の存在は)把握していない」と存在を未だに認めていません。
中国国防部も「作り話を並べ立てて中国軍隊の正当かつ合法的な行為を大々的に報道している」などと説明しており原潜については具体的な説明はありません。

その上で結局、中国は何がしたかったのかについては幾つか考えられます。
  • 何らかのミスにより侵入してしまった
  • 原潜が探知されることを想定してしなかった
  • そもそも原潜は自衛艦に探知・追跡されているとを知らなかった
  • 何らかの作戦で『護衛艦を逆に追っていた』ことにして「先に入ったのは日本側」と有利な立場を作りたかった
  • 探知されることを承知の上、中国国民に『未熟』を知らしめることにより空母や新型原潜の追加保有を正当化し軍拡したい
  • あえてこのクラスの原潜を通過させることで現在の自衛隊側の対応及び能力を測りたかった
まず、原潜が通過したルートを考えると『ミスで侵入してしまった』ということは考えられません。また『原潜が護衛艦に探知・追尾されていることを知らなかった』については小野寺防衛相によると、潜水艦を発見した時点でアクティブ・ソナーという大音量の音波を出しその反射で敵艦を探知する装置を使用したと述べており知らなかったというのも全く考えられません。
あえて093B型原子力潜水艦を接続水域を航行させることで自衛隊側の能力を確かめようとしたのではないかということも十分考えられるのですが、場合によっては不利な立場になる尖閣諸島を選び通過させる理由が考えにくくこれも違うような気がします。

その後、12日午後になり公海上で浮上し中国国旗を掲げるという行為が確認されているのですが(国際法では掲げることになっているらしい)、なぜ潜行したまま海域を離れなかったのかなど理由は全く不明です。ただ、アクティブ・ソナーを用いるなど浮上前に護衛艦側から警告が行われており結果として浮上したことも考えられます。ちなみに、中国の潜水艦が探知され後に浮上するという行動について2017年にアメリカ海軍の対潜哨戒機相手でも確認されています。

いずれにしても発見されてはいけなはずの原子力潜水艦が敵対行為とも言える態度で侵入し、あろうことか探知され、更に接続水域から出た後も丸一日ほど護衛艦に追いかけ回されるという恥ずかしすぎる失態を世界に晒してしまい中国側としては“メンツを保つため”存在しなかったことにしているとも考えられます。


2013年2月、中国海軍の艦艇から護衛艦に向け射撃管制レーダーが照射されるという事案でも報道官は「(事案は)われわれも報道を通して初めて関連の情報を知った」とし説明しており、当初中国側は事態を全く把握していませんでした。その後、「そのような事実はない」「照射したのは別のレーダー」「そもそも日本が悪い」といういつも通りの反応を見せており今回も同様の対応で収束させるものと考えられます。

中国海軍、射撃管制レーダー照射事案の時系列 : ZAPZAP!
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