image_45

宇宙空間を高速で飛び交う宇宙ゴミ。人工衛星や宇宙飛行士にとっては直径数ミリサイズのものであっても場合によっては致命的な破壊をもたらします。この宇宙ゴミに関してレーザーで除去するという人工衛星の研究を中国が行っていると報じられています。

この研究を行っているのは中国の空軍工学大学の研究者で、人工衛星にレーザーを搭載し宇宙ゴミに照射することで軌道を変え地球に落下させたり、危険性の少ない軌道へ移動させることが目的だとしています。

記事によると宇宙空間を模した実験施設で10cm以下の宇宙ゴミに対し毎秒20回、合計で2分間レーザーを当て続け軌道を変更できたか、燃やしつくすことができたとしています。

中国でスペースデブリ除去用「レーザー衛星」の研究。小型デブリをレーザーで移動もしくは焼却 - Engadget 日本版

宇宙ゴミに関しては様々な方法で除去する方法があります。一つは宇宙ゴミの発生源になっている使用不能の人工衛星を回収する案。何らかの方法で軌道を変え人工衛星を大気圏に落下させる案。回収が難しい数ミリや数センチ程度のものであれば中国のようにレーザーを用いる案があります。

ただ、使用不能の人工衛星であっても他国が勝手に回収したりすることはできないと考えられ、それ以前にゴミを回収するという全くお金にならない仕事でもあるため宇宙空間で回収や除去が行われた例は無いものと考えられます。


日本も宇宙ゴミをレーザーで除去するという研究は進められています。これは将来国際宇宙ステーションのきぼうモジュールに搭載予定の『超広視野望遠鏡(JEM-EUSO)』『超高輝度宇宙レーザー』を用いたもので、理論上の射程は100km。10cm四方の宇宙ゴミであれば10秒程度の照射で宇宙空間から宇宙ゴミを除去していくことが可能だとしています。また研究によると高度700~800kmに専用の衛星を打ち上げた場合、5年以内に1cm以上の宇宙ゴミを除去することが可能になるとも主張しています。

▼きぼうモジュールに搭載予定の『JEM-EUSO』(CG)
JEM-EUSO
宇宙ゴミに関して「衛星が破壊された」などと報じられることは極めて稀です。その上で過去に報じられたケースとして、2013年に中国が打ち上げたエクアドルの人工衛星が旧ソ連が打ち上げたロケットの残骸に衝突し失われたケースがあります。(参考)
また、2016年9月に欧州宇宙機関が運用する人工衛星に搭載されている太陽光パネルに対し約1mgの宇宙ゴミが40,000km/h程度の速度で衝突し、40cm四方に損傷を与えたというものがあります。(参考)

地球と宇宙を行き来できたスペースシャトルの被害について調べてみたところ、1992年から2005年に実施された合計50回のミッションで宇宙ゴミもしくは小惑星のチリなどが衝突する事故が1951回確認されています。また正面についている窓には合計で微細なものも含め1634回の衝突があり、窓の交換は合計で92個実施されていたとのことです。