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世界には生物の毒を元に作られた薬が存在します。これらとは若干異なるもののミツバチの蜂毒を使用したアピセラピーというものがあり、これを2年間行っていた女性がアナフィラキシーショックで死亡する出来事があったと報じられています。

死亡が報告されたのはスペインに住む55歳の女性で、ストレスと筋肉の硬直を解消するために、「アピセラピー」というミツバチの針に刺される治療を繰り返し受けていたとのこと。アピセラピーは近年世界各地の富裕層に人気の代替治療法として広まっており、アメリカの女優であるグウィネス・パルトローさんが支持したことで知られています。

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今回死亡した女性は一体何をしていたのか。この女性はストレスと筋肉の硬直(肩こりなどと考えられる)を解消するため4週間おきにミツバチに刺されその蜂毒を体内に入れることで解消するということを2年にわたり行っていたといいます。

記事によると、このアピセラピーは個人で行っていたものではなく診療所で行われいていたとしておりミツバチを使った蜂毒の注入が行われた後、女性は次第に呼吸困難になり意識を失ったいいます。当然この手の毒にはアナフィラキシーショックが出ることは知られているのですが、診療所側は簡易的な治療しか施すことができず体調不良を訴えてから30分後にようやく救急車するという対応の遅さでした。

救急隊の懸命の治療が行われたこともあり症状は落ち着いたものの結果的にアナフィラキシーショックからの脳卒中を患い、数週間後には死亡したとしています。(死因は多臓器不全)

蜂毒で毎年20人前後が死亡

日本の厚生労働省によるとハチに刺されるなどして蜂毒によりアナフィラキシーショックで死亡する人は年間20人前後発生しています。そのアナフィラキシーショックを引き起こす代表的なハチはスズメバチ、アシナガバチ、そしてミツバチです。

蜂毒による症状は刺されてから約15分以に出ることが多いとされます。また症状が早くあらわれるほど重症になることが多いとされており、アナフィラキシーの症状が出てから心停止までの時間はわずか15分という報告もあるとのことです。

蜂毒を体内に入れるという行為については「古来から行われてきた」などと表現し、安全な治療方法だと主張しているところもあるのですが、常識的に考えてこれらはまともな治療方法がなかった時代に有効だとしていたものであって、重大な副作用があると分かっている現在は選択すべき治療方法ではないと考えられます。