ショルツ星

私達人類がちょうど服を身につけるようになったのは今から7万年前とさえているのですが、実はこの頃の人類は宇宙に浮かぶもう一つの太陽を目にしていたとする研究が過去に報告されています。一体どのような恒星が存在していたのでしょうか。

夜空に輝く星々は太陽系内の惑星や衛星を除き全て恒星ですが、7万年前にはこのような恒星とはちょっと異なる星が夜空に浮かんでいたといいます。これは2013年に発見されたばかりの恒星『ショルツ星』というもので軌道を計算した結果、2015年に太陽系から0.82光年という距離まで近づいた推測されることが分かりました。

Raging Cyclones and Jet Streams on Jupiter Perplex Scientists

ショルツ星は2つの赤色矮星の連星系で両方合わせた質量で太陽質量の9%しかない小さな恒星です。この0.82光年はどのくらいの距離なのか。地球と太陽の平均距離は『1天文単位』といいますが、ショルツ星は最も太陽系に近づいたときで5万2000天文単位離れたところを通過しました。
例えて言うならば太陽と地球の距離が1m離れているとすると、太陽系最遠の惑星の海王星が30m離れたところにあります。ショルツ星の場合は520mほど離れたところを通過したということになります。
ちなみに人類が打ち上げ最も遠くの人工物であるボイジャー1号は141天文単位(141m)離れたところにあります。

大体の距離を掴めたところで520mの位置には何があるのか。実際に観測はされていないもののここにはオールトの雲という、およそ1兆個はあると考えられる小惑星群が周回しているとされショルツ星はその外縁を通過したと言われています。

ショルツ星が太陽系に接近した時、太陽系にはどのような影響がでたのか。その影響については今のところよく分かっていません。仮にオールトの雲にある小惑星(彗星)がかき乱され太陽系の内側に降り注ぐと想定した場合、私達地球付近にやってくるのは200万年後とされておりまだその影響すらもでていません。

最新の研究ではショルツ星はもっと太陽から0.6光年の距離を通過したという研究も発表されているのですが、それによると北半球中高緯度で生活していた7万年前の人類は、暗い夜空に薄く輝く一つの太陽を目にしてい可能性が高いとしています。