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私達の銀河系にある恒星とその周りを公転する系外惑星。ケプラー宇宙望遠鏡により観測され発見されてきた数々の地球型惑星に関して、実はノイズの影響で惑星と誤検出されたものが含まれている可能性があるそうです。ちなみにこの論文は同望遠鏡の科学チームに所属していた学者により発表されています。
 

これまで2,600個を超える太陽系外惑星を発見してきたとされるケプラー宇宙望遠鏡。しかしこのほど、それらは別の現象や、ケプラー自体の機器の問題から生じる誤検出の可能性もかなり高いという論文が発表された。いくつかの「地球に似た」太陽系外惑星も発見されているが、もしかすると実は存在しないという可能性も浮上してきた。

WIRED.jp
「ケプラー宇宙望遠鏡の観測により、地球から○○光年離れたところに地球型惑星が発見されました」と宇宙関連サイトをはじめ、もちろんこのサイトでもお知らせしてきたのですが、そのケプラー宇宙望遠鏡を運用していたチームの一人、ファーガル・ムラリー氏は観測された惑星の一部に関してノイズの可能性があり存在していない場合があると論文を発表しています。

そもそもケプラー宇宙望遠鏡は恒星の前を通過する惑星を観測し、系外惑星を観測・発見しています。これはケプラー宇宙望遠鏡から見た場合、恒星の前に惑星が通過することで恒星からの光が遮られ僅かに光の量に変化が生じます。そこから「光の量が変化した=惑星が存在する」という観測を行っています。

ただ、この観測を行う場合は搭載された機器にノイズが必ず発生してしまい、それが恒星の前を惑星が通過したシグナルなのか、それとも単にノイズなのかを見極めなければなりません。しかし、ケプラー宇宙望遠鏡の観測データから存在が確認されたとする惑星に関しては「機器がもつ問題の影響は大きく、なおかつ十分に考慮されていない」としています。

ムラリー氏は定期的に発見されるケプラー宇宙望遠鏡による系外惑星の発見に一部の惑星に関しては「これらの惑星はみんなニセモノだ」と主張していたらしく、一方で論文共著者である天文学者クリス・バーク氏は「そんなことはない」と反論していたといいます。しかし今回の研究にあたり観測されたデータを分析した結果、「残念ですが、おそらくムラリーのほうが正しかったことに気づきました」としており、これまでの主張を撤回する結果に至ったとしています。

なぜ、ケプラー宇宙望遠鏡の観測データを再検証したり他の望遠鏡で観測するということが行われなかったのか。その理由は追跡調査するのは膨大なリソースを必要とするとしています。特に大型の望遠鏡であれば研究者の人気が高く観測の予定がぎっしりと詰まっており、公転周期の長い惑星を長時間観測するという時間と余裕がないことも原因だとしています。

もちろんこれまで観測され発見された惑星が全て誤りだったということではなく、特に怪しいのは公転周期が200日以上で、かつノイズとの違いが明確でない惑星(特に地球サイズ程度の小さい天体ほど明確ではなくノイズに埋もれてしまうためその傾向がある)としています。

また論文によると特に存在が疑問視されている天体を挙げており、それは2015年7月23日にNASAが『Earth 2.0』『地球のいとこ 』などと表現を使い発表されていたケプラー452bだとしています。