
毎年、何千kmも移動する渡り鳥。一方、スズメのようにそうではない種もいるのですが、なぜ大変な思いをしてまで渡り鳥は長距離を飛び続けるのでしょうか。最新の研究によると得られるエネルギーがその場に留まるよりも大きいためと発表されています。
一部の鳥は、冬の到来とともに温暖な地域に移動して餌を確保し、その数か月後には、今度は繁殖のために元の生息地に戻る。こうした渡りを絶え間なく続け、より多くの労力を自らに強いている理由は何だろうか。7日に発表された研究論文によると、これはエネルギー効率の追求によるものだという。一見すると逆説的な発見だ。繁殖や餌を求めてシベリアなど寒い地域から飛来する渡り鳥。ツルやマガモ、今の季節ではツバメなど複数種確認されているのですが、スズメやカラス、ペンギンなど渡り鳥ではない鳥との違いについて、『餌』に理由があるという研究が発表されていました。
AFPBB News
これまでも渡り鳥とそうでない種がいるのは餌に理由がことは知られていたものの、本格的な研究として今回発表されました。それによると、渡り鳥は渡り先で得られるエネルギーが移動に伴うエネルギーよりも大きいことがわかったとしています。
これはコンピュータを用いた研究から明らかになったものらしく、地球を模した環境を用意し分析したものでシミュレーター上では豊富な熱帯地方で定住し活動を始める鳥と、一方で競争の拡大によって一部の鳥は遠く離れた場所への移動の開始を余儀なくされた鳥が出始めたといいます。
その結果については「(鳥の)混雑度が次第に増す仮想世界では、鳥は季節的に入手可能なエネルギーを供給するより極端な小地域を徐々に利用し始め、より長距離を移動するケースが多かった」などと現実の渡り鳥の近い生態が記されているといいます。
つまり、渡り鳥は餌の問題から地域に留まり続ける『留鳥』からはじき出された種とも言えるのですが、違う視点から見ると不要な餌の取り合いで命を落とすこともなく、より効率的に子孫を残せるという選択肢を選んでいるということになっていると考えられます。
渡り鳥の驚異的な飛行能力
渡り鳥は少ないエネルギーでより遠くを飛行できる優れた飛行能力を有する必要があります。今回はその中でも飛び抜けて飛行能力のある鳥を紹介します。動物の中で人間のように道具や機械を使用せず一生のうちで最も長距離を移動しているのは間違いない鳥類です。その中でも桁違いな移動をしているのはキョクアジサシという種です。この渡り鳥は1年間に地球の北極圏と南極圏を飛行します。寿命は30年とされ一生のうちに飛行する距離は120~240万kmと推定されています。これは地球と月の実に1.5~3往復分の距離になります。
▼キョクアジサシ

また、ヨーロッパアマツバメという渡り鳥は過去の研究で10ヶ月間の99.5%を空中で過ごしていたことが明らかになっています。1日のほとんどを寝ている最中も空中で過ごすという考えられない生態なのですが、餌は空中でキャッチしており、睡眠は飛びながら行っていると考えられ特に問題はないとしています。